7月31日に、IPAからスキル標準の最新版であり最終形である「iコンピテンシ・ディクショナリ」が公表されました。略称は今のところ明らかにされていませんが、「iCD」と呼ばれることになるでしょう。前バージョンであるCCSFからの改善点やその使い方について詳しく解説していきます。
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CCSFからiCDへ |
旧来の3つのスキル標準からCCSFに統合された時点で、タスク中心の考え方が明確になりました。企業活用する場合は必須の考え方です。 iCDもこの考え方を継承しており、自社の戦略に合わせて組み立てるという考え方を基に設計されています。 3スキル標準は、今迄明らかに企業活用を中心に考えてきました。発表されている事例を見ても企業での活用しかありません。 企業においては、それぞれビジネスモデルがあり、将来計画も異なり、ビジネス目標が違います。よって、1つの枠の中にはめるような提供の仕方をしても使えないというのが実情です。さらにビジネス環境も大きく変わり、固定化されたものは使えないという判断をしている企業も目立ちます。当初は、枠にはめることで簡単に人材育成や評価ができるという誤解があり、IT企業の人材育成担当者が積極的に取り上げましたが、頓挫してしまう企業が多いのが現状です。特に中小企業はその傾向が強く、一方大手は、自社に合った形に作り直して使っています。 まさにこの点に答えたCCSFが、各方面から評価を得たのも当然だと言えます。 一方で個人視点を主体とした共通指標としての活用については、プロモーションも含めこの10年間でほとんど手つかずになっています。 ここでの個人視点の活用(共通指標として)というのは次の観点です。
・企業に属していてもいなくても、個人が(IT企業に属している人はその枠を超えて)IT業界の中で何を目指して行くかや、自身のスキルアップのために何をすればいいかを具体的に知るために、共通指標としてスキル標準を活用することと定義できる。学生がIT業界で仕事をすることを前提に、スキル標準を利用することも範囲内。(大学、専門学校、高校などのカリキュラムや講義内容を組み立てるのにスキル標準を利用することも含む) ・企業に属している個人が、用意されたものを使っているのは、企業活用と同じであり、ここでの個人視点には入らない。派遣業の企業で、与えられたものを個人が使っているのも同じこと |
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iCD活用の概観 |
以上の個人視点の活用について、iCDでようやく解決法を見出しました。後ほど詳しく説明していきますが、CCSFの構成要素であるタスクモデル・スキルモデル・人材モデルから、「タスク・ディクショナリ」と「スキル・ディクショナリ」の2つの構成に変更され、よりシンプルな姿となっており、これにより個人視点の活用をも可能にしました。さらに、教育プログラムや資格ともより現実的・効果的な紐付が可能になります。
また、各ディクショナリを整理・編集するに当たり、IT関係の主要プロセスや主要BOK(Body Of Knowledge)を取り込んでおり、今後の中心的な位置づけになることが明確になっています。
次回から具体的構成要素や活用方法の説明に入っていきます。 |
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CCSFが取り込んだ主要BOK |
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登録:2022-03-11 21:12:25
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