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コラム
第70話:UISS(情報システムユーザスキル標準)と、コンサルティングサービスの必要性〜その2
 69話は、UISSの導入に他する考え方を中心にお話しましたが、今回はさらに詳しく目標人材モデル構築の考え方、手順、さらに人材育成のPDCAサイクルについてお話します。
目標人材モデル構築
 UISSでは、基本コンポーネントである機能階層とスキルサブセットが用意されていると言いましたが、ではどのように使うのでしょうか。
 IT部門のあるべき姿は、事業プランなどで現れていますが、UISSを使って人材像を策定していくことに大きな意味があります。つまり、事業プランで示すそのゴールに行くためには、もしくはゴールした時の人材構成は、どのように考えられるかという視点です。職種で表すような人材のモデルにレベル観でラダーをつけ、人材像とキャリアパスを同時に表現していくという考え方は、ITSSのもっとも優れている部分であり、UISSでもこの考え方を取り入れると大変効果的です。
 そのためには、要求分析をして経営戦略や事業プランから、どのような人材が求められているかを明確にすることからスタートします。一般的に、プランには人材について深く言及していないケースが殆どですが、人材に対する要求を明確にしておかないと、人材モデルの考え方がブレてきます。システム構築の上流をおろそかにすると、ユーザニーズに合わないものになってしまうのと同様です。
 次におおよその職種を決め、人材モデルの枠を形にします。ここにレベル観をつけると、キャリアフレームワークが出来上がるわけです。 経営戦略や事業プランのゴールから、どの職種のレベルいくつの人が、どのくらいの割合になるべきかを可視化することができることになり、明確な指標となります。
 次のステップは、その職種が担当するであろうタスク(機能)を、UISSの機能階層から選択していきます。当然職種間で重なってきますが、この方法で重なりをも可視化でき最適化が可能です。この作業内では、UISSでは定義できていない機能が必要になるケースも出てくる可能性がありますが、その検証や追加にはSECから出ているSLCP-98などが大変参考になります。
 このように職種ごとの機能が明確になれば、サブセットのスキル群が明らかになり、人材像を構成する仕事に必要なスキルのベースが出来上がることになります。定義されているスキルの過不足については議論が必須ですが、新たにスキルを作り出す方法ではないので、ここまではかなり効率的に進めることができます。
 しかし、これで用意できたスキルセットは、あくまで仕事をするためのスキルであり、実行力であるヒューマンスキルやコンピテンシーを追加しないと人材像として完成しません。ここからは、試行錯誤が必要ですが、人事制度で用意されている職掌定義、職能定義などをうまく活用することができます。
 このような手順で進めると、ITSSキャリアフレームワークの考え方をベースにした企業独自のキャリアフレームワークと、それぞれの職種のスキルセット、およびキャリアパスデザインのためのラダーが構築できることになります。
PDCAサイクル
 ITSSの優れた考え方は2点ありますが、そのひとつはキャリアフレームワークで、残るひとつはスキル熟達度・達成度指標という考え方です。
 ITSS V2で明らかにされていますが、旧バージョンではスキル熟達度と達成度指標の両方をスキルだと誤解している方が多くいました。スキル熟達度は、仕事をするために必要なスキルを定義してあり、仕事で出した成果を評価するための指標が達成度指標です。やはり、ITSSでもUISSと同じく実行力に当たるヒューマンスキルやコンピテンシーは定義されておらず、活用側が追加することを前提としています。
 ユーザ企業ではIT部門と言えど所属企業のビジネスに深く関わり合うため、UISSでのスキル定義は、ITSSのようにITスキルを中心としたスキル構成にはなりません。ユーザ企業の方が、自社のビジネス領域を含むことなどから範囲が広くなるからです。しかし、UISSで定義されているスキルは、あくまで仕事をするためのスキルであり、人材像を形作るにはヒューマンスキルやコンピテンシーなしでは成り立ちません。
 そして人材育成にはPDCAサイクルが重要であり、以下のように育成のサイクルが回りますが、同時に仕事をして成果を上げるというサイクルが回り、両方のバランスと相乗でPDCAサイクルが構成されます。

・PLAN
 育成サイクル:目標人材モデル策定−現状把握−ギャップよりOffJT、OJTプラン策定
 業務上:事業プランから上司と話し合い、スケジュール、目標設定
・DO
 育成サイクル:育成プランに沿ってトレーニング
 業務上:目標、スケジュールに沿って実施
・CHECK、ACTION
 育成サイクル:現状把握、進捗度把握−ギャップよりプランの見直し
 業務上:進捗把握−上司と改善点協議−リプラン
コンサルティングの必要性
 今まで述べてきましたように、考え方や手順は非常に明確になっていますが、これは弊社が8社におよぶ導入コンサルティングから得た経験を元に組み立てたものです。基本思想は変わりませんが、各社のビジネス領域や環境、文化の違いから、臨機応変に進めていく必要があり、成果物もかなり異なるものになるということになります。
 このような内容を、自社だけのリソースで進めていくにはかなりの無理があり、コストだけでなく勉強や遠回りなどの時間も無視できません。やはり、導入のプロからコンサルティングを受けることが早道になり、コスト削減にもつながることは間違いありません。
▲▽ 関連サイト ▲▽
9月20日出版「ITSS V2の分かる本」
登録:2011-01-30 15:47:16
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