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コラム
第37話:ユーザ企業とITサービス提供事業者 プロジェクト進行上それぞれ何が必要か 〜その3
 第36話では、ITサービス提供事業者の現状はどうなっているのか具体的にしてみました。次に、ユーザー企業の状況に入る前に、エンジニア個人の現状について注目してみましょう。
エンジニアの状況
「若手が育たない」そういう声をベテランエンジニアからよく聞きます。会社から仕事を与えられ、無我夢中でそれに取り組む時期は確かにあり、やりがいもありますが2、3年すると「これでいいのか」という不安に襲われる若手が多い現実があります。当然ですが、ビジネスを進めることを主体とする企業が個人に求めるものと、個人が進みたい方向は必ずしも一致していません。さらに、エンジニア自身が自らの進むべき方向を良く分かっていないし、そのための指標も無いという状況でした。また自分自身のゴールをわかっていないことが、本人のストレスにもなっている現状があります。これまでキャリアパスやスキルセットなどについて、企業側の立場で語られることは多くありましたが、エンジニア個人としての話しは、同じテーブルで議論されることがほとんどなかったと言えます。したがって自分が進みたい方向が分からぬまま忙しさに流されていく中で、「このままでいいのか」ということになってしまうのです。また、他社の状況を仕事上など何かのタイミングで垣間見て、自分の置かれている現状がさらに悲観的に思えたりすることも多いのです。その結果、思い切って飛び出していくエンジニアもいれば、モチベーションを下げ気力が落ちたまま残るエンジニアもいるわけです。さらにエニジニアが現在置かれている状況を見ると、日を追うごとに複雑になる技術にさらされて徐々に競争心を失い、切磋琢磨するという姿勢が後退して、自身のキャリアデザインという観点が希薄になっていることは否めません。別の見方をすれば、まさに海外の技術者に自分たちの仕事を奪われようとしているエンジニア自身が、ほとんど危機感を持っていない現実も、かなり危険な状態であると言えます。
今後のエンジニアの考え方について
 先述のように、エンジニアに与えられる仕事と、本人の方向性は必ずしも一致していない場合が多いかもしれません。しかし、エンジニア自身が目標や目標達成のためにすべきことをしっかりと認識していれば、与えられる仕事の中にも自分の役に立つことを、必ず見つけることができます。さらに経営に対して提案していくことも可能になるでしょう。そうした姿勢で臨む方が、エンジニア個人にとっても企業にとってもプラスになります。そのためには、キャリアデザインをエンジニア自身で行う必要があります。
 具体的には、どこをゴールとするか、それに対して現時点はどのレベルにあり、ゴールとはどのくらいの開きがあるか、目標に近づくために今何をしなければならないか、また自分の強みはどこにあるかなどを明確にする。エンジニア自身が自分を知り、将来をデザインするということは、与えられる仕事の中にも、自分のための可能性を見出せるということにつながります。「ITスキル標準」は、そういったエンジニア自身の価値を可視化するための優れた仕組みです。この仕組みをうまく活用していけば、モチベーションを向上させ、仕事に対するパフォーマンスを最大化していくことができます。
 エンジニア自身が、「ITスキル標準」導入を機に、自分を高めるいいチャンスでもあり、アピールできるまたとないチャンスだとポジティブに捉えられるように、環境を整えることが重要です。

(第38話につづく)
登録:2011-01-30 15:40:12
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