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コラム
第34話:本当なのか、人材育成・投資に対する経営者のマインド
32話で日経ビジネスの記事を紹介し、意見を述べました。あの記事は、間違いなくIT業界を支えて来られた経営者の方の考え方を表したものでした。その後、またさらに同じようなことに遭遇しました。
ある委員会での出来事
先日「ITスキル標準」の今後の計画の一部を具体化する委員会があり、関係者として出席していました。その内容は、「ITスキル標準」をさらに普及させるには、経営者の方の理解と、リーダーシップをとってトップダウンでの推進が不可欠との認識で、その施策を具体化するためのものです。そのためには経営者の方が、手軽に読めるようなものの提供が効果があるということで進めています。委員として有名ユーザ企業のCIOや、ITベンダーの経営者の方が参加され、推進側の関係者はオブザーバということで委員会は進んでいます。
その中でオブザーバの1人から愕然とする意見(感想)が飛び出しました。今の経営者は、いくらこんなものを用意しても、読むようなマインドは持っていない、興味も持たないし、読むにしても数行でポイントだけまとめてあればそこだけである、特に中小企業の経営者は人材育成に金も時間も使わない、というような内容でした。
経営者は”上がり”で、後はどうでもいいのか
この話は大変将来に不安を残す内容ですが、遠からず当たっているのかもしれません。上司と部下の関係においても、昔のように上司が部下をしかったりするのは最近見たことがありませんし、上司自身が自分の将来に不安があるのに、部下のことなど構っていられないという雰囲気があります。その上司の姿が、先ほどの経営者の話に重なってきます。経験を重ねた方々も若い時分があり、色々と苦労したはずですし、その時の事を思い起こせば、若い技術者にどうしてあげればいいのか分かるはずです。でも、それができないということは、変な言い方かもしれませんが、今の自分の地位をすごろくの”上がり”だと思っているのではないでしょうか。ここまでつらい思いをして昇ってきたのだから、あとは楽をしたい、または売り上げ責任に追い回されてそれどころではない、ということでしょうか。その気持ちは分からないわけではありませんが、ある意味、責任放棄になります。後進の育成は間違いなく経営者の最大のミッションであるはずです。
経営者に期待したい愛情を持った育成
「ITスキル標準」は今までなかった仕組みで、かなりロジカルに育成の考え方を組み立てることができます。しっかり理解すればこんなにいい道具はないと思います。しかし、それだけではいい人材が育つわけは無く、企業のDNAを引き継いでいくには、経営者の愛情が必要です。効率的な手法や道具プラス自らの全知全能を愛情を持って注ぎ込むということが重要です。これこそが、今まで日本の文化を支えてきた基盤ではないでしょうか。
登録:2011-01-30 15:39:11
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