スキルスタンダード研究所は、各業界へのスキル標準の活用・推進、プロフェッショナル人材育成に向けたコンサルティングサービスを提供します。
ITスキルスタンダード研究所
スキルスタンダード研究所についてニュースサービスドキュメントコラムお問い合わせ
コラム
第32話:日経ビジネス9.19号の記事について
今回はコラムらしいコラムにしました。
日経ビジネス9月19日号に、独立系ITベンダー会長の記事が載っていました。
異論正論/ソフト産業の競争力「中国、インド優位論はウソ 粘着質の日本こそ強い」というタイトルですが、内容が気になったので取り上げて見ました。

「中国、インド優位論はウソ 粘着質の日本こそ強い」って本当?
日経ビジネス9月19日号に載った記事は、次のような内容でした。
「ソフト産業は中国やインドの方が進んでいるというのは大きな誤解である」という文章から始まり、数年前からソフト開発を任せる企業が増えたが失敗が多く引き上げる企業が増えた、としています。また、日本人は完全な仕様書が無くても、行間を読んで作成できる、中国のソフト会社にこんなまねはできるはずも無い、また中国人は待遇のいい会社を渡り歩き、日本人は残業する人がいると周りが帰りにくいという国民性の違いからチームワークが優れている、このチームワーク優位の粘着性のある日本人に、ソフト産業はぴったりの産業だ、といった具合でした。
読み終わって何だこれは?と思いました。
何故日本の技術者のレベルが落ちてきたか
今まで日本のソフト産業を引っ張って来られた方は、大変な苦労をされているはずです。ただ、世の中は変わりました。こうしている現在も急速に変化しています。先のお話しのような現状肯定型では、とてもこの変化に対応できません。何故こんなに優秀なはずの日本のソフトウェア産業の基盤は、現在殆ど全て外資に牛耳られてしまっているのでしょうか。OSはマイクロソフト、ネットワークはシスコシステムズ、データベースはオラクル、ERPはSAP、あげればきりがありません。また、それどころかエンジニアのスキルレベルが極端に落ちて赤字プロジェクトが多発し、IT企業に甚大な損害を与えています。だからプロマネが重要だと、また偏った手段ばかり追いかける方向になったりしています。後進を育成することを考えてこなかった、また育成する方法が分からない、何故かというと自分もしっかり育成してもらったことが無い、こういう中堅以上のエンジニアが多いのは、色々コンサルティングしてきた私の実感値です。誰がこういう世界を作ってしまったのでしょうか。行間を読めるエンジニアなど極端に少ないのが現実です。それよりしっかり仕様書を書けるエンジニアを育てるべきです。ベースをしっかりと習得したエンジニアであって始めて色々なことを省略したり、柔軟に対応できるのです。
また、今の若手が仕事に対して粘着質だとはとても思えません。それにチームワークを求めても、うまく行く気がしません。ネガティブではなくて、現実にうまくトレーニングできていないのです。教えてあげないとうまくできない若者が多いのは、皆さんよくご存知でしょう。
目標を何処に置くか、将来像をどう描くか〜ITアーキテクト像
今まで何をしてきたか、今どうなのか、ということに引きずられていては先に進めません。私が「ITスキル標準」に対して何とか改良できないかと考えていることは、過去を重視している部分です。これを「達成度指標」と呼んでいますが。
先の記事のように今までの栄光を信じて、ぶら下がっているようなイメージは、これからはマイナスになる可能性が高いと思っています。どうあるべきかが重要です。過去の経験は重要ですが、エンジニアにとってそれが足かせになるのは確かです。経験しているがゆえに視野が狭くなって、クリエイティブでは無くなる傾向がIT技術者には存在します。特に上流工程のモデリングの部分は、下流から上がってきた技術者ではうまくこなせず、未経験であってもデザインセンスのある方がうまくできるというのは、疑いのない事実です。
どうあるべきか、それを実現する具体策、手法や技術は何か、ということが重要で、それはITアーキテクトの人材像に直結すると考えています。これからは、エンジニアが目指すのはPMやコンサルではなくて、ITアーキテクトになるのは間違いないでしょう。
ITアーキテクトは技術おたくだというイメージをもたれている方が多いと思います。しかし実はそうではなくて、経営戦略をシステムデザインに生かさなければいけない責任を持った立場で、大変重要な位置づけです。今後さらに掘下げて行きたいと思っています。
登録:2011-01-30 15:38:38
 サイトの利用について | プライバシーポリシー | 情報資産管理方針 |
トップページへ戻る