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コラム
第27話:人を育てるということ
客観的に状況を捉えてみると何か見えてきます。時間に追われて仕事をする毎日で、振り返って静かに考えることも必要です。
デジタル家電四方山話から
今回は少し別の切り口から入ります。
デジタル家電の売り上げの伸びが好調で、その主役は薄型のプラズマTV、液晶TV、そしてDVDレコーダーです。価格も徐々に下がってきました。我々購入側にとっては、ありがたいことですが、各製造メーカーにとっては試練の連続のようです。特に家電量販店の伸びがすさまじく、しかもそれぞれの量販店の価格競争が激しいのは、皆さんよくご存知だと思います。製造側は量販店から価格の引き下げを迫られ、いやおうなくそれに従う構図が出来上がっています。製造側にとっては販売ルートを失うわけにいかないので、苦渋の選択を強いられている状態でしょう。製造コストの改善より価格引下げのスピードが勝っている状態です。それ故、販売数は伸びているにもかかわらず、大幅な利益減に陥ったメーカーもあるほどです。
私もDVDレコーダーを持っていますが、取扱説明書がとても分かり難くて困った覚えがあります。お持ちの方は私と同じ気持ちになられたのではないでしょうか。最近はすぐ使えるようにプリセットしてあるものが殆どですが、基本的な構成や動き、操作の手順などは理解していないと使いこなせません。画面にメニューが出てきて応えていくような形態がほとんどですが、まるでパソコンを扱っているようです。日々仕事でパソコンを使っている我々などは、それほど違和感もなく扱えますが、ふと考えると昔の家電とはかなり違います。あまりパソコンなどに触れたことのない方々には、殆ど知らない外国語に接したような感覚になってしまうのではないでしょうか。取扱説明書も専門用語が多く使われ、意味不明の部分が多いに違いありません。かつての家電のイメージは完全に壊れてしまっています。
そのような中で、パソコンの初期設定や扱い方を訪問してサポートしてくれるサービスが喜ばれていますが、それをデジタル家電で実践しているサービスもあります。これは、量販店のように安く売り切っていくような形ではなく、町の電器店がまるでかかりつけの医者のように面倒をみてくれるというものです。値段は量販店にはかないませんが、設置から操作の説明までを自宅に訪問して丁寧に教えてくれるサービスです。家電のあまりの変わりように面食らった人たちも、安心して最新のものを使えるのですから、少しくらい値段が張ってもそちらで購入しますし、以降も引き続きその店を愛用されることになるでしょう。担当の販売員の方とも仲良くなり、家電のことだけでない色々なことにまで話しが及び、楽しいコミュニケーションが成り立っています。これが広がり、一種のコミュニティを形成するほどになっています。
不気味な経験
最近ある会社を訪問した時のことですが、広いオフィスに社員の方が大勢座っておられました。しかし、聞こえてくるのはパソコンのキーボードをたたくカチャカチャいう音だけです。何かものすごく不気味に思えてぞっとしました。ここ何年かの間に、メールやファイル管理の仕組みが発達して来ました。メールが使えないと仕事にならない状態にまでなっています。ペーパーレスですから、紙を回すということも無くなって来て、すぐ後ろの席にいる人にもメールで連絡します。見かけ上、人と人のコミュニケーションをあまり必要としない仕組みが成り立っています。先ほど「ぞっとした」と書いたのは、まるでそこにいるのは意志を持たないロボットか何かのように思えたからです。別にその人がそこに座っていなくても他の人でも構わないわけです。大げさかもしれませんが、使い捨て人形のようです。企業として信頼されるとか、個人が夢を持って、というような言葉は、そこからは絶対に浮かんできません。企業としては、収益を上げていけばいい、人材なんて、ましてや育成なんて金のかかることはどうでもいい、個人としては、もらっている給料分だけ働けばいい、できたら手を抜きたい、夢なんて持てない、という極端な構図がはっきり目に浮かんできます。
人を育てるということ
先ほどのデジタル家電が仲介したコミュニケーションは、一つのいい例です。使うことが目的ではないのです。使って楽しむことが目的なのです。メールは確かに便利ですが、それを使うことが目的になっていませんか。そのために重要なコミュニケーションの機会が失われていませんか。最近、本の売り上げが下がりつつあります。本を読まないと、いい文章を書くことはとてもできません。文章も満足に書けない人が、メールだけで真意を伝えられるでしょうか。送られてきたメールにメールで返して、その繰り返しの結果、大問題に発展したケースを幾度となく見てきました。メールは、あくまで一つの手段であって、うまくコミュニケーションするための道具でしかありません。直接目を見ながら話すことの大切さは、言わずもがなです。
その様な人間力は、考えていても伸びません。適切な環境、適切な考え、適切な教育が必要です。経営者、上司、部下、先輩、後輩、同僚、それぞれが目的を共有して高めていく努力がなければ成り立ちません。。
企業や組織は人の集まりです。一人ひとりがとても重要です。この仕事がしたい、この人と一緒に働きたい、などと思えるようなものにしなければ、いやがおうにも仕事に人生の大半の時間を費やしていることに、何の意味も無くなってしまいます。
自分を磨く、人を育成することに時間を費やすということは、自らの人生を大きく飛躍させると信じています。
皆さん、そう思いませんか。
登録:2011-01-30 15:37:35
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