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コラム
第260話;企業におけるIT人材育成の基本
 TV、新聞だけでなく、何にでも " DX "という冠が付いてしまう状況になっています。
「これが DX ?」と思う情報も山ほどあります。おまけに生成 AI の話が輪をかけて殆ど交通整理ができないと感じているのは、筆者だけでしょうか。
 今回は、それらから少し離れて、どのような状態になっても人材が「人材がすべての原動力」、という信念で企業の人材育成の基本を述べたいと思います。
機能を軸にした構造を目指した“本格的な仕組みづくり”が必要
 人材と対応する “役割”を組織視点からの目的で機能分解すると、やるべきことが見えるようになります。具体的には、企業として目指すべきあるべき姿(To Be)に対して、今定義している役割のAとBでは重複が多い、あるいはAやBという役割はどういう機能を担うべきかを明確にして議論することができます。

 スキル標準の有効活用を真剣に考えていた企業ほど、こうした経営戦略や事業計画の反映という部分での解決策を見いだせなかったという実態がありました。このような悩みが大きかった企業は、現状の仕組みを組織視点からの仕組みに改善できるという方法論の有用性を理解しやすいと思います。

 機能分解するメリットとして、スキル標準を本格的に導入していた企業が、改善のための検証ができるという点を強調したいと思います。特に、新たな仕組みを構築することなく既存の仕組みを生かして、“ビジネス目標の達成に貢献する人材の育成”という、目的を推進できることがポイントになります。

 企業目標、組織目標など目標達成のために推進すべき機能、“IT人材”に求められるスキルや能力の網羅性も明らかになります。
 こうした人材育成の仕組みが、企業による本来の育成に対する投資効果を明らかにすると言えます。

 また、「企業ごとにビジネスモデルや事業戦略が異なるため、人材育成計画は各企業のビジネス目標達成に即したものでなければなりません。その時々で必要となる人材を定義したようなフレームワークを策定すると、環境変化のたびに、例えば“AI人材”を育成すべきだといった議論が起こり、従来の仕組みを1から見直す必要に迫られます。

 こうした“呪縛”から脱するフレームワークが、企業目標を基本とした役割設定を機能分解した上で精査するものとなります。
固定化の排除で環境変化にも柔軟に対応
 DX推進スキル標準も含め従来のスキル標準では、そのまま使うということは想定されていません。
 自社に必要な機能を中心に役割設定するという考え方で導入を進める必要があります。逆にいえば、Maxとして提供されたコンテンツから、不要なものを削除し、自社のTo Beに合った機能を集約する。そのために活用できるガイドラインやツールは提供されていますが、企業は自ら頭を使い、取捨選択することが重要になります。ただし、DX対応についてはこの限りではなく、特定の考えとミックスした進め方が必要になります。(この方法は今後)

 今後は特に固定化した考え方を排除し、企業が人材育成の仕組みを自由に組み立てることを可能にするフレームワークが必要であり、環境の変化に対して、企業が自ら考えていくことが重要です。

 ITを中心とした世界でAIやデータサイエンティストなどの浸透に伴い、求められる人材のスキルや能力は大きく変化します。
 また、様々な要素を組み合わせて要件を定義する能力や、営業能力がより重要になるかもしれません。こうした企業としての対応方針を明確にし、方針に対して“ぶれない”施策を講じていくためには、考え方やフレームワークは一貫していながら、中身を柔軟に変えられ、変えても影響を及ぼさない仕組み作りが重要です。
 従来の資産を残しながら、新たな環境に対応できることを前提にする必要があるという理解が重要です。

 さらに、IT人材に限らず、人材育成で重要になるのは、経営トップの強固な意志と人材育成に携わる担当者の使命感です。
 人材育成の仕組みを作ることが目的ではないということ、経営トップ自らが、内容を理解してリーダーシップを発揮することは大前提であり、導入推進に関わる担当者全員が、自社に適しているかどうかを徹底的に考え、議論することが重要です。
 理解が浅いままの導入は絶対に避けるべきであり、後戻りができないことも十分に認識しておく必要があります。全員参加の雰囲気を醸成しながら、企業や人材の価値を高めるという取り組みに活用してほしいと思います。
登録:2023-06-07 16:41:24
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