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コラム
第249話:スキル標準の歴史とiCD & ITSS+ 〜その2
 最新のスキル標準であるiCDやITSS+は、「企業」での活用が基本です。これまでもITSS、UISS、ETSSなど旧スキル標準についても、多くの企業が活用してきました。これらスキル標準の策定経緯や活用について、振り返ってみたいと思います。また、DX推進を見据えた活用方法についても深堀していきます。
CCSF、iCDの公表
 2014年7月に、IPAからスキル標準の最新版であり最終形であるiCD (iコンピテンシ・ディクショナリ)が公表されました。

 この間にCCSFが公表されていますが、iCDの初期バージョンと位置づけられます。CCSFは、旧来の3つのスキル標準をUISSベースに統合したものですが、タスク中心の考え方がより明確になりました。これは企業活用する場合は必須の考え方です。

 iCDもこの考え方を継承しており、自社の戦略に合わせて組み立てるという考え方を基にデザインされています。また、iCDになってCCSFの構成要素であるタスクモデル・スキルモデル・人材モデルから、「タスクディクショナリ」と「スキルディクショナリ」の2つの構成に変更され、よりシンプルになっています。さらに、教育プログラムや資格とも紐付が可能で、より現実的・効果的な仕組みとなっています。

 各ディクショナリを整理・編集するに当たり、IT関係の主要なプロセスやBOK(Body Of Knowledge)を取り込んでおり、取り込んだBOKのバージョンアップなど必要に応じてメンテナンスされていくことになっています。
iCDの構造
クリックすると拡大  図では、ビジネスを推進する、つまりタスクを実行するとビジネス成果につながり、そのためにはどのようなスキルが必要か明らかになります。タスク実行後はさらにスキルに磨きがかかるというサイクルになると考えられます。さらにスキルをつけるためには、どのようなトレーニングが適しているかも関係づけることができ、人材育成の効率化につながります。

 前バージョンであるCCSFでは、スキルディクショナリが明確に独立していなかったことから、タスクとトレーニングを結びつけるイメージとなり、複雑な構成になることが否めませんでした。iCDでは、特定のタスクをどのくらい実行できるかを評価でき、さらにその評価度合いを上げるためには、どのようなスキルを磨くことが必要か明らかにすることができます。その上で、スキルアップのためのトレーニングにも紐づけられるので、より現実度が増すことにもなり、活用の効果も向上します。

 タスクディクショナリは、経営戦略や事業計画を推進するために必要なタスク群で構成されています。「iCDの企業活用の主体はタスク」です。企業や組織の視点で活用を考える場合は、To Beのタスク構成を求めることが、企業戦略や事業計画実現のためのスタートとなります。もし、人材像やスキルから取り掛かれば、企業の考えを入れることが難しいからです。

 一方のスキルディクショナリは、単独で成り立つ考えで構築されており、タスクの影響を受けることはありません。内部構造としてIT専門スキルとITヒューマンスキルに分類されています。さらに、タスクとスキルは緩やかな連携をするように紐づけられています。それぞれが独立して成り立ちながら連携しているという、今後の改善活動にうってつけであり、企業活用でのインテグレーションに適したコンポーネント構成になったということです。 
タスクデイクショナリの構造
クリックすると拡大 タスクディクショナリは、次の3つのコンポーネントで構成されています。

・タスク一覧
 メインコンテンツであり、企業活用時に取捨選択してTo Beタスク構成を構築する
 ために活用。組織、個人に求められる機能や役割を4階層のモデルで整理、体系化
したもの。
・タスクフレームワーク
 タスクディクショナリの把握と保守(タスク追加・更新時の整理)のために活用。
・タスクプロフィール
 タスクディクショナリの把握と活用(タスクの選択、役割の定義等)のために活用。
 ビジネスモデル、業態、開発手法等の観点で、必要なタスクセットをモデル化。

 タスクディクショナリは、CCSFをベースに、SLCP2013、COBIT5、ESPR2.0、ITILV3、CRISP-DMなどを参照し、多くの企業での活用に耐えるように、網羅的なタスクが用意されています。

 言い方を変えると、一企業がそのまま使うには広すぎ、深すぎという幅広いタスク群で構成されています。

 企業や組織のビジネス遂行にかかわる主要プロセスが、大・中・省分類、および評価項目の4階層で整理されています。

 また第4階層の評価項目は、組織構成員個人がタスク遂行実績を評価するための項目です。一般的にはスキルチェックという言葉をよく使いますが、企業のビジネスで必要なのは、どのようなスキルを持っているかではなく、タスクを遂行できるかどうかの優先順位が高く、スキルの保有ではなくタスクを評価項目として定義しているのは理に適っています。

 タスクフレームワークは、タスク一覧の大分類の項目を企業活動に沿ってうまく整理したもので、タスク構成の全体像を俯瞰することができます。
スキルディクショナリの構造
クリックすると拡大   スキルディクショナリは、IT専門スキル群とITヒューマンスキルの定義の2つで構成されています。

IT専門スキルは、タスクを支える能力(スキルや知識)を体系化したもので、スキル3階層と知識項目から構成されています。

特色としては次の通りです。
1) IT業務に必要なスキルと知識を、主要なBOKに基づき網羅的に構造化して提示
2) 大分類はテクノロジ、メソドロジ、関連業務、ITヒューマンスキル、ビジネスその他(ユーザー領域)の5分類から構成
3) 整理した内容を、主要BOKを参照し、検証作業を実施

 知識を含め、かなりの数の定義がされています。これをそのまま使おうとすると大変複雑で扱いにくいものになることが考えられます。次回以降の活用方法の中でも述べますが、企業活用においてはタスクが中心であり、常に意識して検討を進める必要があります。
 あるべき姿をタスクで定義し、必要なスキルはそのあとで確認しながら必要なものだけを使うということを徹底することが重要です。

活用するために便利なタスク・スキル関係表は、タスク小分類とスキル小分類を関係づけたもので、あるタスクを遂行するために必要なスキルを確認することができます。
 ここでは、関係性を柔らかく定義してありますので、あくまで参照することにとどめ、自社の考えをベースに見直していくことが必要です。

 ITヒューマンスキルの定義は、タスクとスキルを完全に分化したのと同様、iCDの大きなトピックとも言えます。「創造力」、「実行・実践力」、および「コミュニケーション力」に大別され、その下位はPDCAのサイクルをもとに定義されています。シンプルながら網羅的であり、活用時に参照するには十分な内容です。この分野では実績・経験、世界的視野で申し分のない平田謙次先生が監修されています。

 〜その3につづく 次からiCDの活用方法、ITSS+と進めていきます。

登録:2019-09-18 13:14:58
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