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コラム
第220話:今後必要になる人材とは 〜その1
 経済産業省の産業構造審議会・人材育成ワーキングでも、融合人材について議論がされました。また、現在進行中の内閣官房の議論でも、次世代のIT人材が注目されています。今回はこれらについて深堀りしてみます。
経産省・産業構造審議会・人材育成ワーキンググループの背景
 商務情報政策局長の肝入りでスタートしたこの委員会は、2007年に続く第2弾として2012年3月27日に第1回が開催され、8月30日の第5回で終了しました。

 2007年7月に公表された報告書「高度IT人材の育成をめざして」 では、「向こう10年後を見据え、IT人材についての将来展望と戦略」を主体にまとめられていました。この時に発表された「共通キャリア・スキルフレームワーク」は、見かけとしてITSS、UISS、ETSSの3つのスキル標準のキャリアフレームワークを横に並べたもので、当初はその意図を理解することができない人が大半でした。しかも、情報処理技術者試験をレベル1〜3に張り付け、資格試験の取得とレベルを1対1に対応させたことで、余計に難解なものとなったというのが大方の評価でした。

 とは言うものの、ITサービスを提供する側、受ける側、そしてこれから技術者を増やしていく必要があるという組み込み側の3者3用のスキル標準それぞれでは、IT人材の活動領域全体を表現できません。また情報処理技術者試験を有効に使って高度IT人材の育成のあり方を示すには、当時としてはこの方法に行きついたのは自然の流れだったのかもしれません。

 しかしながら、その考え方を簡潔に説明するドキュメントがなかったということと、メッセージアウトするためのセミナーなどの機会がなかった、またしっかり話ができる人が周りにいなかったことも府理解や誤解を生んだ大きな原因だと思っています。

 現在実施中の様々な施策は前回の報告書が基になっていますが、報告書発表から5年が経ち、社会環境の変化等が進み、これらを踏まえた見直しを行う時期に来ているということでWG開催となったわけです。

人材育成ワーキンググループでの議論
 2011年8月の産業構造審議会・情報経済分科会の中間とりまとめにおいて次の提言がされました。

・IT融合を生み出す次世代高度IT人材像の具現化と育成が重要である
・現在の高度IT人材に関しても情報セキュリティ上の脅威の高度化・多様化に対応することができる人材の確保が求められる
・日本経済のグローバル化を踏まえたIT産業における人材育成なども求められる

 こうした状況を踏まえ、今回の人材育成WGでは、「新たなIT活用時代における高度IT人材の人材像(次世代高度IT人材像)はどのようなもので、その育成はどのように行われるべきか」ということをメインテーマに議論が進められました。

 最終報告書には、次のテーマで検討結果が記述されます。

・次世代高度IT人材像
・情報セキュリティ人材
・階層別の人材育成
・現在の高度IT人材のスキルを評価する仕組みの検討

 また、次世代高度IT人材の育成のための7つの指針として以下が定義されています。

@一定の能力や資質を有する人材の選抜を基本とする
A新事業の創出や変革に向けた強いインセンティブを与える
B大きな視点から物事を考えさせる
C多様な価値観に触れさせる
D現場に入り込み、課題を発見させる
E非日常的な場を与え、発想を熟成させる
F一定の失敗が許される挑戦・実践を繰り返す

 筆者としてはとても腹落ちするものでしたが、@の人材の選抜ができる人材がいるのか、いかに育てるのかも大きな課題ととらえています。 

 IT業界でかなり浸透しているITSSにもかなり大きな影響を及ぼす指針が出ています。

 次世代高度IT人材はITの世界だけでは語れないことは周知の事実です。実際に委員会でも「IT」を入れないで次世代高度人材とすればどうかなどの意見も出たくらいです。

 今まで論じられてきた高度IT人材は、専門分野に特化し役割分担する仕事の仕方をが中心になっていました。このことは生産性や効率化の向上に寄与してきましたが、結果として全体を考えたり顧客の視点で捉えることがおろそかになっていることも事実です。ITSSは専門分野に特化した定義で、まさしくこの代表格と言えます。
 
 有賀委員長も言われていましたが、古いモデルに執着するのではなく、新しい考え方に移行すべき、というのが最大のメッセージだと思います。その中心にくるのは間違いなくCCSFです。

  〜その2につづく
登録:2014-03-17 10:14:41
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