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コラム
第218話:大盛況のうちに幕を閉じた「スキル標準ユーザーズ・カンファレンス2014」
 12月6日目黒雅叙園で開催された「スキル標準ユーザーズカンファレンス2014」は、1000名近い申し込みがあり、大入り満員の大盛況で幕を閉じました。
 今回はCCSF一色で、時代は変わっているという実感がありましたが、その中でも特徴的な題材をピックアップしてレポートします。
基調講演 「経済産業省の情報政策」経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 課長補佐 村上 貴将 氏
クリックすると拡大  まず、午前中の一つ目の講演は経済産業省によるものです。

 一つ目のトピックは、内閣官房が進める「世界最先端IT国家創造宣言」についてです。これは6月に打ち出され、10月から具体的な計画作りにはいっています。この中の人材育成分科会は、経済産業省も大きな役割を果たすことになっています。筆者も委員として参画しています。図の通り工程表も公開されていて待ったなしの計画ですが、キーワードとして「スキル標準」が明示されており、CCSFをもとに検討していく流れになっています。

 次に「サイバーセキュリティ戦略」について語られましたが、これもスキル標準の中にセキュリティ人材を組み込んでいくという内容で、CCSFを基にすでに作成されています。

 3番目は、「次世代高度IT人材(融合IT人材)育成」についてですが、産業構造審議会の情報経済分科会人材育成ワーキンググループから出ている提言「専門分化から融合人材、マルチスキルへ」を基に語られました。急速に変化していく環境を前提に、経済産業省におけるIT人材育成政策の現状と今後の方向性が語られました。

 あとは、IPAで実施している「未踏人材発掘」や「セキュリティキャンプ」などの紹介がありました。
「IT業界が抱える課題と将来像」三井住友銀行 取締役専務執行役員 渕崎CIO
 特別講演として三井住友銀行の渕崎CIOから、ユーザー視点、現場感のあるの提言をいただきました。

まず課題として以下の点を挙げられました。

<IT業界の職種が人気職種になっていないのではないか>
 ・「3K・7K」イメージが先行
 ・世界的に有名なIT企業は最近では外国企業ばかり
 ・業界を代表するようなスターが不在(出現しにくい業種)
 ・情報工学やIT業界に若者や学生が魅力を感じていない
<ユーザー企業、ユーザー部門に対して受身で従属的?>
 ・仕事の下請構造、IT子会社など相対的に下位ポジション
 ・「要求」に対して受動的、上流でリーダーシップ発揮できていない
<経営からの重要性認識が高くない?>
 ・「見える化」が不十分で、トップ、ユーザーとの対話が難しい
 ・黒子的(縁の下の力持ち)で脚光を浴びにくい職種
<ステップアップ感が 得られにくい?>
 ・増える更新・保守業務、新規開発は相対的に減少
 ・世の中に認知された資格キャリアがない
<環境変化への対応>
 ・グローバル化の進展
 ・サービス・商品・製品のIT活用率の拡大
 ・ITの高度化
 ・ネットで何でもつながる社会
 ・特に知識・スキルで生きる日本における重要性
 ・IT人材の必要性の高まり

 以上を踏まえ、今後の対応の方向性として次の提言がありました。

 ・IT業界からの情報発信の強化
 ・日本発のIT技術を世界へ
 ・学校教育へIT教育の取入れ
 ・下請型仕事から脱却し、提案型・アナリスト型の仕事を主流に
 ・システム開発の自動化・標準化によるワークスタイル変革
 ・IT資格・表彰制度の拡大

 特に、IT資格・表彰制度の拡大に関しては、CCSFを使った次世代高度IT人材像の設定と、資格認定による可視化を強調されました。
 できる個人にスポットライトを当て、若手がIT業界に入ってきやすくすることは、今後にとって大変プラスだと思います。
CCSFの事例や将来計画
 午後のトラックは、いち早くCCSFを活用された企業自身による事例発表が並びました。
 小野薬品工業、セイコーエプソン、農中情報システムの各企業は、考え方や目的が異なりますが、CCSFを使って自社の仕組みを構築され、PDCAを回し始めました。その苦労話、今後の期待など、これからCCSFに取り組む皆さんにとって、大変有意義だったに違いありません。

 さらに今回はあらたな試みとして、データ・サイエンティストについて、現場で長年経験されてきた日本HPの内藤さんに話してもらいました。私の知る限り、現場感のある内容は群を抜いています。もうひとつ、楽天の研究所長の森さんにもお話しいただき、今までのシステム開発と、これからのものの違いを浮き彫りにしていただきました。

 また、IPA・遠藤氏と私の共同のトラックでは、いままでのあゆみや今後の計画などを、細かくお話ししました。
CCSFについてお話しするのは3回目ですが、概要、企業への導入手法と進んできて、今回は企業での活用と個人の観点での利用、そして将来計画についてお伝えしました。今までと同様、聴かれている皆さんの真剣な眼差しが痛いほどで、話していてとても幸せを感じました。皆さんと考えを共有できている、同志なんだと実感した次第です。ますますやる気が出てきました。
登録:2013-12-09 16:56:18
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