CCSF活用法の10回目です。先回までで企業・組織のあるべき姿を目指した「To Beタスク」、およびその実行に必要なスキルセットが明らかになっています。企業導入の最終局面は、いよいよ人材像の策定に入っていきます。
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キャリアフレームワークの仮設定 |
図は、スキル標準ではおなじみのキャリアフレームワークです。
人材像としてまずは、この考え方で仮設定してみます。人材像名称はITSSやUISSで例示されている職種、人材像名を使っても構いませんし、独自で考えても問題ありません。ポイントは、社員の方々がしっくりくる、会話の中で使うことができる、そういったイメージを持たせることです。
レベル感に関しては、実績上では企業や組織の代表として設定する場合が多く見受けられます。また、人事制度と連携するしないは別にして、推進者同士が共通認識を持てるように、人事等級とのすり合わせをしておくことをお勧めします。
基本的に、要件定義、自社タスク定義(To Be)、組織機能検証の結果などをもとに、自社タスクを実現するための人材像を策定することになります。また、このフレームワークの中で、エントリやゴールを明確にし、キャリアパスを設定する枠組みとなります。
新卒入社や他部署よりのローテーションで配属された方々の多くは、レベル1から定義されている人材像のどこかからスタートすることになります。図では4つのエントリがあることになります。
また、ゴールはレベル6が設定されている人材像のどこかになり、エントリからゴールを結ぶものがキャリアパスとなります。当然途中でキャリアチェンジが発生することになるでしょう。
このフレームワークの大きなメッセージは、たとえばアプリケーションデベロッパーは、レベル3までしかなく、その意味は4以上は必要ないということです。つまり、このレベル3になれば次はキャリアチェンジして別の人材でのキャリアを考えていく、ということです。
よって、誤解を与えぬよう社員の方々には、うまくポジティブなメッセージ発信をしていく必要があります。 |
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役割(ロール)の設定 |
ここでは人材像が担うタスクを紐づけ、責任範囲を明確します。導入ステップの「肝」になるとても重要な作業です。
CCSFの活用では、人材像をタスクの範囲で表現します。分かりやすく言えば「ロール」の設定をするわけです。
縦軸に策定したToBeタスク、横軸に人材像を置きます。(図) 責任を持つべき主たるタスク、関わっていくべき従たるタスクも明らかにします。横軸には対象範囲外の関係者も並べると、非常に役割分担が明確になります。
情報システム会社の場合は、親会社のシステム部門を入れると役割が明確に見えてきます。また、アウトソーサーやパートナーを入れることも大変効果があります。
たとえば、あるタスクをアウトソーサーに外だしにすることを考えると、単に渡すだけではなく、自らに管理することや評価するタスクが必要なことも分かります。
また、一つの人材像に多くのタスクを割り付けてしまった場合、人材像を分割したり専門分野を作るきっかけになります。さらに、一つのタスクが多くの人材像に紐付いてしまった場合は、タスクの細分化を考えることになるかもしれません。
このように、机上で策定してきたTo Beタスクや人材像は、この作業を実施することで飛躍的に品質向上することになります。
今後人材育成担当者が変更になった場合も、このタスク・人材像の考え方を理解していくだけで、以降の環境変化に対応した運用ができるわけです。
もう一度言いますが、これが「肝」です。考え方をよく理解していくようにしましょう。
〜その11につづく |
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登録:2013-07-16 14:17:18
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