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コラム
第207話:企業にとって本当に必要な人材育成の仕組みづくりとは?
 今回は一歩引いて考えて、企業が必要とする人材育成の仕組みについて、その基本的な姿勢や考え方そのものについて、掘り下げてみたいと思います。
手段から入って目的やゴールを見失う
 システム構築の全工程を経験した方は、上流工程の現状分析などのステップでの膨大な作業を、鮮明に記憶していることでしょう。
 例えば多くの種類のワークシートを、インタビューや調査した情報で埋めていくような作業です。筆者も経験がありますが、ユーザーニーズに合った使いやすいシステムを構築することが目的であるにもかかわらず、作業に追いまくられると知らず知らずのうちにワークシートを作成することが目的になってしまうのです。つまり、手段が目的となってしまっているのです。そのような状況では、いいシステムを構築ができるはずもありません。

 企業の人材育成の仕組みづくりでも同じことが言え、実際にそのような状況となっている企業も多く見受けられます。
 たとえば、仕組みづくりに有効な「スキル標準の導入」自体が目的になってしまっているのです。

 そうならないよう、何のための仕組みづくりかを共通認識していく必要があります。そのためには、ゴールを定め現状認識をして、そのギャップを埋めて少しでもゴールに近づくための適正なプランを立て、実践していくことが必要です。
To Beがなければ意味が出てこないAs Is
 あるべき姿だけを追いかけても、あまりに現状からかけ離れていると、ギャップを埋めるプランを立てることが難しく、また立てたとしても現実感に乏しいものになってしまいます。
 しかし、懸命に現状認識をしても、それだけではどこへ向かうかが明らかになりません。もっとも、現状認識から課題が明確になり、ゴールやここ数年の考え方についての議論することは可能になることもありますが、その域を出ることは難しいと言わざるを得ません。

 明らかにする順序は別にして、少なくともプランを立てるにはTo BeとAs Isが必要で、そのギャップから対策を考えていくことに、異論を唱える人はいないでしょう。

 ここで重要なのは、To Beとは外から与えてもらうものではなく、自らが考え定義するということです。その枠組みの中でAs Isを明確にするというのが正しいアプローチです。

 もう少し具体的に言うと、例えばITSSの場合、有体のスキル診断からスタートして組み立てようとしても無理があるということです。

 気付きにはなる場合もありますが、大抵はそれ止まりであり、自社の思いの入ったあるべき姿を求めていくには返って遠回りすることになるのです。

 それを、難しいことの苦手な企業にはなるべく簡単な方法で―、と言う方もいますが、本当に気持ちを入れないといけないところを端折ってしまっては、使い物にならないものになってしまう危険性があります。

 企業の意志の入ったものを作れなければ継続できるはずもなく、やらないほうがましという結果になりかねません。簡単に済ませることは、マイナスにはなってもプラスになることはあり得ません。

 また、人材戦略や育成戦略は、企業が成長するための要であり、簡単に済ませる対象ではありません。

 To Be、あるべき姿とは、企業の規模の大小に関係なく、企業の考え方や戦略、方針をこめたものでなければ意味がありません。
それがあって初めて、現状を把握することにより、あるべき姿とのギャップが見える化されるのです。それをもとに年間計画や将来プランを立てるという、ごく当たり前の考え方をベースにする必要があります。   

 この流れで、プランを立てて実践していくということが、仮説と検証の繰り返し、つまりPDCAを廻すということになるのです。
登録:2013-02-03 10:56:43
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