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コラム
第198話:CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)の活用方法 〜その5 企業導入時のタスクについて
 CCSF活用方法の解説の5回目です。いよいよIPAから提供されるコンテンツをどう使うかのプロセスに入ってきます。
要求分析とそれ以降のプロセス
 先回までに要求分析の考え方や成果物を説明しました。

 繰り返しになりますが、「どうなりたいかを明らかにしていないと何にもなれないし、効率的で有効な人材育成計画の立案やその実施もできない」ことを認識しておく必要があります。

 先を見通せないのに、とりあえずスキル診断をするのはやめてください。目標設定もできないのなら、やらない方がましです。

 「自社のビジネスに貢献できる人材を育成・保持・確保する」というのが、スキル標準企業導入の基本です。スキルを向上させるのはあくまで手段であって、何のためにという目標を明確にできなければ、社員の方々の腹に落ち継続していくことができません。

 もし、スキル標準を導入することや、スキル診断をすること、また続けることが目的となってしまっているならば、今すぐに見直し改善の手を打つことを、勇気をもって実行してください。

 要求分析の実施は、企業や組織の目標を明らかにすることだけでなく、そのプロセス自体も推進者相互の共通理解やゴールの共有ができる大変重要なものです。

 CCSFとして多くのコンテンツが提供されていますが、この要求分析だけは何も提供されておらず、企業自身が頭を使って進める必要があります。企業ごとにビジネスモデルや目標は異なるので当然です。したがって要求分析のできる能力を持つ方を担当にすることが必須となります。

タスクの考え方
 タスクは、企業や組織が目標達成のために実行すべきファンクションを示します。したがって、この段階では人材像や役割を意識せずに、まさに企業力、組織力という「企業視点」を重視します。

 ITSSにはこの考え方がなく、職種・専門分野≒人材像と解釈して、個人がどんな能力を持ち、何ができるか何をやってきたかという個人視点が中心になっています。
 企業導入の基本は企業視点なわけですから、個人視点の定義の塊をどうやって企業に合わせればいいかが難解でしたし、問題点としてそれに行き着かず、なぜだか分からないがうまくいかない、ではとりあえずスキル診断をしましょう、という短絡的な流れになってしまったわけです。

 そうではなく、企業力、組織力を上げるためにスキル標準の導入をするわけですから、まずは企業・組織を中心に考え、個人に落ちるのはまだ先と考えていいのです。

 人材像などから入るのはたやすいことで、説明もしやすいように思えますが、実際は失敗している企業に多いパターンがこれなのです。導入推進者の役目の一つは、しっかり説明責任を果たすことですが、人材像、スキルから入ってしまうと誰もが納得のいく説明をするのは不可能です。また、運用時に思い入れを持っている当初の担当から、新任の方に変わった場合など、うまく引き継げずフェードアウトするケースが多いのもこのパターンです。しかも、しっかり要求分析ができておらず、To Beが明確でないのも特徴です。
タスクモデル
クリックすると拡大  図は、IPAから提供されているタスクの一覧です。(抜粋)
形式は大分類、中分類、小分類の三階層で、UISSをご存知の皆さんにはなじみの深い内容です。

 タスクという言葉は、人によって違った理解をしてしまう場合も多いので、説明するときはファンクションという表現を多用しています。

 この内容は、SLCP(System Lifecycle Process)、UISSの機能役割定義、ETSSのスキル基準からタスク構成として整理されています。3つの要素を統合しているので、企業を対象とすると大きすぎるとも言えますし、言い方を変えれば、この3要素以外は入っていないので、物足りない場合もあるということになります。

 元々CCSFはベースとして使ってもらえるような設計になっており、このまま変えずに企業で使うという想定にはなっていません。この考えは、ITSS、UISS、ETSSも同じなのですが、多くの企業、特にITSSユーザーが誤解している現実があります。

 CCSFは3つのスキル標準の構造など意識せずに、できるだけ有効に使いこなすという考えなので、合わせるという意識は捨ててください。頭を使って作り上げるための有効なツールなのです。

 〜その6につづく
登録:2012-07-31 13:58:07
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