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コラム
第195話:番外編2 〜ITSSはIT業界における人材の客観評価指標になりえるか
 先回に引き続き、番外編としての第2弾。ITSSが公表されスタートしたときから変わっていない「業界のものさしの呪縛」について言及したいと思います。
「ITSSはIT業界のものさし」の呪縛 〜利用者の声
 ITSSの利用者、とくに上辺だけではなく突っ込んで活用している方々から、次のような意見が上がっています。

・スキル熟達度定義は使いづらい
・達成度指標は、必ずしも現状の環境を反映できているとは言えない
・スキルディクショナリは職種・専門分野でくくられており、重複していて使いづらい
・レベル1〜3の判定は、情報処理技術者試験だけでは不十分
・レベル4以上は、情報処理技術者試験+第3者審査が必要と明記されているが、自社での実施は不可能

 スキル熟達度や達成度指標の考え方は優れていますが、実際の現場でコンサルテーションするときに、筆者も双方とも使えないと思っています。内容が同じ文言が多用されていて、繰り返しになっていたり、どちらが熟達度か達成度か分からないくらい重複しています。また、内容が抽象的な割には、職種専門分野・レベルごとにがちがちに定義されていて、制限されたものになってしまっています。

 情報処理技術者試験は、学生の合格率が社会人より高く、実績・成果を重視しているITSSの考え方とギャップを感じるのは私だけでしょうか。
人材調達
 業界のものさしとして自社の位置づけを知ることと、もう1つの可能性として「人材調達」に使えるのではないか、ということが当初よりよく聞かれました。

・定義内容が抽象的なので、現実感として使いづらい
・レベル3までは情報処理技術者試験を使えるものの、レベル4以上は用意されていない

 しかしながら、活用しようとした側の意見として、以上のように実際には機能するとは言えません。

 現状では、大手IT企業がグループ会社や中小IT企業から人材調達する際に、「購買」が使っているに過ぎないという実態があります。

 この場合の購買のミッションは、安くいい人材を調達するということですが、現場では経歴書を元に再度ヒアリングして何ができるかを確認しているのが実際です。
 現場で必要なのは、プラットフォームではなくてUNIXやLinuxであり、データベースではなくてOracleやSQL*serverなのです。そこまでの要素技術が確認できないと、うまいアサインはできません。
どう考えるか
クリックすると拡大  筆者は、ITSSがIT業界のものさしとして使えるようになることに賛成です。しかし、今の状態では、そうでないほうがいいと言わざるを得ません。

 一ベンダが提供しているスキル診断ツールではなしえず、ITSSを客観指標としてIT業界に定着させるには、次のような本格的な施策が必要だと考えています。

・公的な資格認定制度の実現
・CCSFの考え方を活かし、具体的にブレークダウンできる構造へのグレードアップ

 認定資格として公的な第3者認定が無ければ、ものさしにはなりえません。
また、その際に根幹となるCCSFを基にした各スキル標準の構造改革も必要だと考えます。
登録:2012-05-30 11:16:23
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