3月26日に、IPAより公表された新しい共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)について、考え方や使い方について解説していきます。
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CCSF策定の背景とコンセプト |
CCSFを新しく提供する背景には、複数のスキル標準、例えばITSSとETSSや、UISSとITSSを活用しようとしても、考え方や構造の異なる部分があるため、そのニーズのある企業は大変苦労をしているという現実があります。せっかく導入しても、別管理されているところも多いようです。 また、中身の改善も別々に行われており、有効な情報や手順のシェアもしにくい状態です。先行して、IT業界に定着しつつあるITSSでさえ、ほぼ大手しかうまく使われていないというのが周知の事実です。クラウドコンピューティングなど環境が変われば、すべてを見直さないといけないような構造は、これからの変化についていけるはずもありません。 3つのスキル標準は、それぞれ膨大な量であり、共通的な部分も多くあります。それぞれを別管理、別メンテナンスしていくのは、大変な無駄な作業もあると考えられます。
将来性を考えれば、今回の取り組みはMUSTであったと言えます。
新モデルのコンセプトは、次の通りです。
・今まで個別にスキル標準を活用されている企業には、直接の影響を与えない 3つのスキル標準は新モデルが出ても併存する形となります。
・これから導入活用する企業は、この新モデルだけを対象にすればよい 3つの考えの異なるスキル標準を個別に理解する必要はなく、この新モデルのみの理解で、3つのスキル標準の必要な部分を、自由に使いこなせることになります。
・今まで個別のスキル標準を使っていた企業は、新モデルで現状の検証、改善ができる たとえば、ITSSを活用していた企業も、この新モデルで現状の有効性の検証や、さらに合ったものにするための改善活動が容易になります。 |
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CCSFの構成 |
このコンセプトは、とてもよく考えられた構造になっており、企業がスキル標準を導入する際にかなり有効なものになっています。
参照モデルとして利用できるコンテンツ群を「タスクモデル」、「人材モデル」、「スキルモデル」の3つに分類して提供されています。
・タスクモデル 求められる機能や役割(課される仕事)を定義したもの。 タスクというのは、理解が異なる可能性もありますので、ファンクションと捉えた方が分かりやすいと思います。企業目標を達成するために必要なファンクションということです。
・人材モデル 求められるタスクを使って役割範囲を例示したもの。 ITSSの職種専門分野は人材像でも役割でもなく、プロフェッションの分類ですが、導入しようとした企業は理解不能に陥り、結局職種専門分野=人材像と位置づけてしまいました。使い方と定義内容が異なるために、いろいろな矛盾を引き起こし、利活用をさらに難しくしてしまったのです。 ここでは明確に役割のモデルであると定義しています。
・スキルモデル タスクを支えるスキル/知識を整理し、3つのスキル標準のスキル定義を一元化したもの。 先ほどのファンクションを遂行するために必要なスキルです。
〜その3 に続く。 |
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登録:2012-04-12 14:18:12
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