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コラム
第192話:CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)の活用方法 〜その1
 先だってより取り上げてきた新しい共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)が、3月26日にIPAから公表予定です。同時に活用ガイドなども公表されますが、今回からその考え方や使い方について解説していきます。
現状とCCSFの登場
 CCSFは明らかに「スキル標準の企業導入」をターゲットにしています。もっとも普及しているITSSを例にとると、企業導入とIT技術者個人がIT業界の中でどのくらいの位置づけかということが混在して説明されており、いざ導入する段階になると大変分かりづらくなるというのが、多くの推進者の感じるところです。

 ITSSの事例は企業導入のものばかりで、企業のITSS導入・活用推進担当が、苦労して使えるように試行錯誤してきたというのが実態です。技術者個人が有効に活用できたという話はあまり聞くことができません。ほとんどのケースで、企業でいかに活用するかが話し合われてきたのです。
 現在は「活用の手引き」がありますが、長らく活用方法が提示されなかったのも、導入の仕方が分からなかった一因です。

 一方、使い道がはっきりしているCCSFは、スキル標準の企業導入を効率的に進めるために威力を発揮します。

 しかしながら、ITSSについて知識のある方々からは、異論がでることも予想されます。それは次のようなものです。

「ITSSはIT業界でのものさしとなるが、CCSFでは同じ使い方ができない」

 これは、企業間比較など企業アピールや人材調達で使うことを想定してのことです。
しかしながら、ITSSの抽象的な定義では、標準的なレベル判定とするのは難しいと言えます。
 たとえば、現場で必要なのは「プラットフォーム」ではなくて、「UNIXやWindows」だからです。人材調達ではこれらは必須となります。
 また、正式にレベル認定をしないと、客観性が担保されませんが、そういう公の仕組みはありません。自社のビジネスのためにスキル診断ツールを提供しているケースも例外ではなく、目安にはなりますが認定ではありません。
 現在人材調達でITSSを使用しているのは、大手ITベンダが中小企業から調達するケースのみで、これは主役が大手ベンダであり、そこで採用している基準が絶対的なものとなるので成り立つわけです。

 また、ITSSのレベル定義で言うと、レベル3が「なんでも独力で実施できる人材」となり、一般的なIT企業では上位に位置づくことになります。つまり、普通の企業ではレベル3以下に80%以上の人材がくるということです。

 もうお分かりだと思いますが、これでは比較にもアピールにも、また人材調達にもならないということです。
 でも「うちの会社ではやっている」と言われるケースは、調達側か、もしくはかなりアレンジしたり仕組みを考えたりしているはずです。
 そういう意味では、すでに「IT業界のものさし」となりえていないということなのです。

 少し前に、IPAとの地方講演で次のような意見が出ました。

「CCSFの考え方や使い方は論理的で理解できるが、契約先の大手がITSSでの職種とレベルを人材ごとに提出しろと言ってくる。だから意味がなくてもやらざるを得ない」

 この話は、まさしく日本のIT業界の下請け構造を表しています。
 まず一つ目は、このビジネスモデルが続くわけがない、そのモデルに企業としてしがみついていきますか、それとも新たなモデルを模索しますか、と問いたいと思います。
 二つ目に、この大手ベンダは先の話のように自分が主役なので、基準を何にするか決めることができ、有利に使うこともできるわけです。もっとも、購買の方が使う目的ははっきりしていますが。
CCSFの考え方
 企業はビジネス目標達成のために、人材投資をより効果的に実施していく必要に迫られているのが実情だと言えます。そのためには、人材育成に投資するためのしっかりとした根拠と実施計画、および投資結果を評価するための判断材料を持つ必要があります。

 CCSFは、スキル標準を効率よく企業導入するために策定されました。
その考え方は、次のようなものです。

・人材のスキルという観点から、自社の実力を正確に把握し、強みと弱みを認識する
・自社の強みを生かす経営戦略を遂行する
・致命的になる前に、弱みをカバーする策を考え、実施する
・ビジネス目標や人材育成計画は、IT人材の現状を正確に把握した上で策定する
・人員を適材適所に配置した効率的な体制にする

 今までも同じ議論を続けてきましたが、高橋さんの言うことはもっともだが上を説得できない、もしくは契約先から強制される、続けてきたものを簡単に変えれないなど、推進担当の方の苦労が絶えないことが容易に想像できます。

 では、こうやって進めるている目的は何でしょうか? 誰のためでしょうか? もう過去のしがらみから決別する時です。勇気と使命感を持って進めましょう!

 さらに詳しくCCSFの活用法について解説していきます。

 〜その2につづく
登録:2012-03-18 14:30:21
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