スキルスタンダード研究所は、各業界へのスキル標準の活用・推進、プロフェッショナル人材育成に向けたコンサルティングサービスを提供します。
ITスキルスタンダード研究所
スキルスタンダード研究所についてニュースサービスドキュメントコラムお問い合わせ
コラム
第188話:大盛況のうちに幕を閉じた「スキル標準ユーザーズ・カンファレンス」
 12月1日目黒雅叙園で開催された「スキル標準ユーザーズカンファレンス2012」は、あいにくの寒さと雨にもかかわらず、大入り満員の大盛況で幕を閉じました。
 今回は、特にピックアップしたいセッションについてレポートします。
今後の方向性を実感できた午前中セッション
 経済産業省・田辺氏のお話は、大変示唆に富んだものでした。
話された骨子は次の通りです。

@情報処理試験
A産学連携による人材育成事業
Bモデルキャリア開発図の策定
Cスマート社会を切り開く融合人材と教育

 @〜Bは、どちらかというと今までの実績を基にした話しですが、Cはまさしく将来像を語る内容になりました。
 「ITを基盤とした社会のあるべき姿」と「今後のビジネスに必要な人材」という切り口になっていたと思います。ただし、落としどころは「次世代高度IT人材」となっており、結論は人材像を明らかにし、その育成法を考えるという感じに受け取れます。

 突き詰めていくと具体策としての一つには間違いないと思いますが、この話だけをピックアップしていくと誤解される方々が出そうです。では昨今の状況から「クラウド人材」ですね、ということになってしまうという感覚です。

 懇親会の時に、有賀氏がご挨拶の中で話されていました。

「クラウド人材などありえない、短絡的にすぐそういう話になるのは考えが浅いからだ。要素分解して目的に合わせて組み合わせる考えがなければだめだ。」

 全くその通りだと思います。田辺氏の言われたいことも単純なものではなくて、そういった意味が込められているととりました。せっかく、短い時間で将来感をまとめていただいたものを正しく理解したいと思います。
午後のセッション
 午後は、自分が講演する午後一のセッション以外は、立場上2つのトラックに分かれた会場を行き来していました。全体に上々の集客でかなりの熱気を感じました。

 自分のセッションを取り上げて恐縮ですが、今回の目玉として位置付けたこともあり、椅子を追加しなければならないほどの盛況ぶりとなりました。聞いておられる皆さんの熱気が怖いほど伝わって、こちらも思わず力が入りました。久しぶりに以心伝心を実感した次第です。

 出だしに、この3年間当年末カンファレンスでは講演していないこと、その間に各種委員会(共通キャリアのコンセプト作りも含め)や、企業導入活用のコンサルテーションにかかわっており、その集大成を話すのでしっかり聞いてほしいというようなことを話した途端、さっと張りつめた空気に変わった気がします。1時間半の講演でしたが、話す側もとても短く感じました。

 私からお伝えしたかった内容は、次の通りです。

・深化した共通キャリア・スキルフレームワークのコンセプト
・スキル標準の基本的な考え方
・導入活用プロセス
・導入・活用におけるそれぞれの課題と対処法

 深化した共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)については、以前もコラムで書きましたのでそちらを読んでいただくとして、今回の重要なポイントは「導入活用プロセスは、何も変わっていない」ということです。もともとITSSもUISSも同じプロセスですし、ETSSも実証実験での有効性の評価ができています。改めてCCSFのタスクモデル、人材モデル、スキルモデルに合うように言葉を変えただけです。

 聴講してこれを理解された方はよく勉強されていると思います。そうでない方はIPAの冊子(活用の手引き)を入手して勉強することをお奨めします。

 新しい考えでも有効性を評価され、今度は統一した環境での導入活用プロセスとして位置づいています。このシンプルなプロセスを理解できない人はいないはずですので、先入観を持たず、是非読んで理解いただきたいと思います。そのままCCSFに使えますので、前準備に最適です。

 よく、事例を紹介してほしいという声を聞きます。もちろん有効に違いないですが、聞いたから事例集を読んだからと言って、いざ導入作業を開始すると思ったほど役には立ちません。理由は、それぞれの企業で環境、事情が異なるということと、セミナーや文章の限られた中では、圧倒的に情報不足だからです。出せない情報も多いと思われます。つまり、事例は導入しようと決断するためには大変有効ですが、実際の作業のなかでは自社なりに試行錯誤する必要があることや、個別のハードルの出現があるということです。

 それを踏まえ、講演では事例ではなくてそれぞれのタイミングごとに起こる事象と、典型的な対処法を説明しました。これは長年にわたるコンサルテーションの中での実体験を基にしています。

 事象や対策のまとめ方は次の通りです。

・導入するかどうかを決めるまで
・導入作業実施中
・構築した仕組みの運用
・構築した仕組みを現場で活用

 今までのコラムでも述べてきましたが、育成の仕組みを構築した後、普通プロジェクトは解散し、運用するのは運用部隊で育成や評価に活用するのは現場の管理職のミッションとなります。

 ここで、問題となってくるのが、構築したプロジェクトメンバや担当者の思いを、運用担当に引き継いで行くのが難しいということと、管理職が仕組みを理解できず負担に感じることや、場合によっては最大の抵抗勢力となりうることです。
今後の展開
 CCSFの今回の発表はコンセプトですが、春ごろにコンテンツも含めて公表される予定です。是非期待してください。しかし、注意いただきたいのは、出るものを使えばいいというのではなく、頭を十分に使って自社の考え方を入れ込み、現実的な仕組みとして組み立てる、という考えを持っていただきたいことです。

 ITSSが出たときのように、何も変えずに使ってしまってエンジニアのモチベーションが急降下、ということは決して繰り返してはなりません。

 今回の講演を社内でも実施してほしい、もっと詳しく聞きたいなど、ご希望があればぜひご連絡ください。ユーザー協会でも、弊社でも構いません。

 いつまでも勉強したり、躊躇していることはやめて、一歩踏み出してください。
また、導入後の企業であっても、少しでも現状に疑問を感じたら、再検討する勇気を持ってください。

全力でご支援します。
登録:2011-12-04 14:18:38
 サイトの利用について | プライバシーポリシー | 情報資産管理方針 |
トップページへ戻る