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コラム
第179話:名古屋での「スキル標準最大有効活用セミナー」  〜新スキル標準モデル登場、本邦初公開!
 6月2日(木)「スキル標準最大有効活用セミナー」と題して、久しぶりに名古屋で講演してきました。IPAからは、本邦初にあたる3つのスキル標準の深化について、お話がありました。
名古屋セミナーのプログラム
 6月2日(水)愛知県産業労働センター・ウインクあいちにおいて、スキル標準ユーザー協会・IPA共催で約50名の皆様が集まりました。そのプログラムと告知内容をご紹介します。
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【スキル標準ユーザー協会・IPA共催】「スキル標準最大活用」in 愛知
 開催日付 2011年6月2日 13:30〜
 開催場所 愛知県産業労働センター ウインクあいち

 13:30〜 開会
 13:35〜 「スキル標準の深化」独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
     IT人材育成本部 ITスキル標準センター グループリーダー 島田高司氏

 ITを取り巻く環境の変化による、企業の人材ニーズの変化・多様化の中において、3スキル標準それぞれの構造や違いを意識せず、各企業が、ビジネスモデルに即した人材育成に活用頂くための共通のインタフェースを整備し、これを「共通キャリア・スキルフレームワークの深化」と位置づけました。
 共通キャリア・スキルフレームワーク及び3スキル標準(ITスキル標準・情報システムユーザースキル標準・組込みスキル標準)について、利用者及び全体最適の視点から将来の方向性についての指針を検討し報告書としてまとめました。その内容を詳しく説明いたします。

 14:35〜 「活用企業の成功事例・失敗事例に学ぶITSS・UISSの最大有効活用法」
      特定非営利活動法人 スキル標準ユーザー協会 専務理事
     (株式会社スキルスタンダード研究所 代表取締役社長)高橋秀典

 IPAからの標準導入活用手順の提供や、SSUGも一体となった普及活動により、スキル標準(ITSS、UISS)を導入し、組織力強化、またそのための人材育成に活かす企業が着実に増えております。
 しかしながら、未だに理解不足や誤解したまま、「診断ツールを入れてみたがその後の運用に頓挫している」、「ビジネスモデル上有効なスキル向上ができていないのでは?」、「我々中小の企業では導入しても意味がないのでは?」、「スキル標準を導入することが目的になってしまった」などという声もよく聞かれます。
 なぜそうなるのか、どうすれば疑問が解けるか、また、「企業導入=ビジネス目標達成に貢献する人材を育成する」という一本筋の通ったストーリーを展開するにはどうすればいいかを、講師の多くの実績から明らかにしていきます。
 ITSS、UISSの策定と活用の両方に深く関わる第一人者が語る「ここでしか聞けない」内容にご期待ください。
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 このセミナーは2月3日に東京で開催され、大きな評価を受けましたが、それを各地に展開するという考えで進められています。このあと6月9日・沖縄、6月16日・大阪、7月14日・広島と続きます。
 また、筆者の講演は2時間ほどの時間をもらい、スキル標準の導入活用についていつもより詳しく説明しています。さらに1回目の東京開催分と異なるのは、IPAとの共催になり、コンセプトが固まった3つのスキル標準の将来像を、IPA自らが語るというところです。
 
スキル標準の将来像
クリックすると拡大  このコンセプトは、とてもよく考えられた構造になっており、筆者が2002年のITSS発表当初から続けている導入活用の考え方を裏付けるのに十分なものです。おかげで、利活用の説明が大幅にやりやすくなりました。

 参照モデルとして利用できるテンプレート群を「タスクモデル」、「人材モデル」、「スキルモデル」の3つに分類して提供していきます。

・タスクモデル
 求められる機能や役割(課される仕事)を定義したもの。
 タスクというのは、理解が異なる可能性もありますので、ファンクションと捉えた方が分かりやすいと思います。企業目標を達成するために必要なファンクションということです。

・人材モデル
 求められるタスクの役割分担を例示したもの。
 ITSSの職種専門分野は人材像でも役割でもなく、プロフェッションの分類ですが、導入しようとした企業は理解不能に陥り、結局職種専門分野=人材像と位置づけてしまいました。使い方と定義内容が異なるために、いろいろな矛盾を引き起こし、利活用をさらに難しくしてしまったのです。
 ここでは明確に役割のモデルであると定義しています。

・スキルモデル
 タスクを支えるスキル/知識を整理し、3つのスキル標準のスキル定義を一元化したもの。
 先ほどのファンクションを遂行するために必要なスキルです。
新モデル策定の背景
 以上の簡単な説明では、理解するのがむつかしいですが、いずれPAのホームページなどで一般に公開されることになりますので、セミナーで聞けなかった皆さんは、今しばらくお待ちください。

 この新モデルは、暫定的に新共通キャリアスキル・フレームワークと呼ばれていますが、変更になるかもしれません。3つのモデル名も同様です。

 これらを新しく提供する背景には、複数のスキル標準、例えばITSSとETSSや、UISSとITSSを活用しようとしても、考え方や構造の異なる部分があるため、そのニーズのある企業は大変苦労をしているという現実があります。せっかく導入しても、別管理されているところも多いようです。
 また、中身の改善も別々に行われており、有効な情報や手順のシェアもしにくい状態です。先行して、IT業界に定着しつつあるITSSでさえ、ほぼ大手しかうまく使われていないというのが周知の事実です。クラウドなど環境が変われば、すべてを見直さないといけないような構造は、これからの変化についていけるはずもありません。
 3つのスキル標準は膨大な量であり、共通的な部分も多くあるものを、それぞれを別管理、別メンテナンスしていくのは、大変な無駄な作業もあると考えられます。

 将来性を考えれば、今回の取り組みはMUSTであったと言えます。
新モデルの考え方
 新モデルのコンセプトは、次の通りです。

・今まで個別にスキル標準を活用されている企業には、直接の影響を与えない
 3つのスキル標準は新モデルが出ても併存する形となります。

・これから導入活用する企業は、この新モデルだけを対象にすればよい
 3つの考えの異なるスキル標準を個別に理解する必要はなく、この新モデルのみの理解で、3つのスキル標準の必要な部分を、自由に使いこなせることになります。

・今まで個別のスキル標準を使っていた企業は、新モデルで現状の検証、改善ができる
 たとえば、ITSSを活用していた企業も、この新モデルで現状の有効性の検証や、さらに合ったものにするための改善活動が容易になります。
IPAからの重い言葉
 スキル標準センターの発足当初から在籍され、スキル標準に一番造詣の深い島田氏が、説明の中で次のように話されました。

「発表当初は、活用企業側の立場に立てず、ITSSをそのまま変えずに使うことなどをアドバイスしたため、正しい普及を妨げる原因の一つになってしまった。反省している。」

 キャリアフレームワークにしても、職種専門分野にしても、スキル熟達度にしても、達成度指標にしても、そのまま使えないことを発表当初から訴え続け、活用企業のモデルを作り上げる手法として確立したことが、ようやく報われた瞬間でした。
 また、過去のこととはいえミスリードを認め陳謝された度量の広さに感服しました。民間であっても大変認めにくい内容だと思われますので、なおさらです。勇気ある発言に敬意を表したいと思います。

 競争相手に打ち勝つために、企業は人材育成に投資するのです。
 強みをさらに強くし、相手に選ばれる立場になるために努力するのです。

 みんな同じの金太郎飴のように、ITSSを変えずに使っても意味がないことを、しっかり認識することが必要です。
 とりあえずやってみようはだめです。自社モデル策定に、頭を思い切り使い汗をかく企業が、勝利に近づくと確信します。

10年近くかかってやっとですが、

「継続は力なり」

を実感しました。
登録:2011-06-12 11:16:01
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