164話で「事例集発行記念セミナー」のITSS版レポート、キーウェアソリューションズの山村氏のお話を紹介しましたが、今回はUISS版レポートとして、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の遠藤氏の講演内容を紹介します。
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課題認識 |
当初の課題認識は、次の通りです。
・ベンダーへの依存度が増し、情報システム部門本体の技術力が一部空洞化の恐れ ・業務の属人化によるリスクの潜在化 ・中核人材の世代交代が進まず、技術・知恵の継承が困難 ・人材の機動的な再配置が困難 ・情報システム子会社との機能分担が不明確
合併を繰り返してきたこともあり、仕事や組織は縦割りになっており、変化に対応するには各エリアごとに人数を増やさざるを得ないということになっています。
推進責任者の遠藤氏は、この現象を「タコツボ化」と呼んでいて、コンサルに入った我々は、その表現の妙に感心したものでした。
遠藤氏は、合併当時は縦割りであろうが何であろうが、仕事を停滞させないために、組織として横に並べるしかなかったが、将来を考えるとこのままでは立ち行かなくなる、という危機感を持っていました。 |
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取組みスタート |
誰がどんなことができるかというよりも、組織力を向上させることが第一の考えであったことから、ITSSのように職種や人材ではなく、組織機能を中心に定義しているUISSの選択に至ったことは必然と言えます。
UISSをベースとして取り組みの基本方針が次のように定められました。
「まずは、情報システム部門の果たすべき"ミッション"と"執行単位"を意識した 『ユニット』概念を導入し、ユニットごとに具備すべき『機能』、機能実行のために必要な個々の『スキル』の順で考える。 個々の要員が持つ『スキル』を"見える化"し、『機能』⇒『ユニット』における具備の度合いをマップ化する。 再配置、育成等の手段を用い、『スキル』を強化することで『ユニット』が機能する体制へ。」
つまり、ITSSで定義されているITスペシャリストやITアーキテクトなど、人材を表現するようなものでは到底ピンとこない。人材表現では「誰が」という意識にになってしまい、本来の組織力強化ということにつながりにくい。あえて人材にとらわれず組織機能を中心に組み立てていく、という考えです。
UISSの構成や活用プロセスに合致した考えであったため作業はスムーズに進み、組織機能で表現した「タスクフレームワーク」に、各要員のスキルが映し出され、見事に組織力が見える化されています。 |
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実装手段にスキル管理ツール採用 |
スキル標準ユーザー協会の戦略スキル管理ツール「SSI-ITSS/UISS」を気に入ってお使いです。このツールの機能のひとつに、上の画面のように組織機能上での現状(As Is)のスキル分布を表現することができます。人材のレベルいくつが何人というものではなく、組織力の表現としてはるかに優れたものになっています。この形ならば、経営戦略や事業計画を基に、あるべき姿、To Beを設定することも分かり易く理にかなっています。 そうすると本来のAs Is/To Beのギャップが明らかになり、精度の高いリソース戦略が立案できることになります。
ITスキルだけではなく成果を出す能力も含めてコンピテンシーとして大きく捉えていますが、遠藤氏は今後の課題として、いかにそれを自社に合ったもの、社員が腹に落ちるものとなるよう、改善のPDCAを廻すことを強調して、1時間の講演を終えられました。 |
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登録:2010-08-13 13:44:13
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