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コラム
第147話:エンタープライズ系スキル標準「ITSS」&「UISS」の将来像について
 企業導入を前提に考えた場合、ITSSとUISSをどのように捉えればいいのでしょうか。
エンタープライズ系の範囲で括れる2種類のスキル標準の、共通点や相違点から将来像を考えてみます。
ITSSの導入手順
クリックすると拡大  まず、双方の導入・活用の手順について見てみます。

 この図は、IPA発行「ITスキル標準概説書」、およびITスキル標準 活用の手引き」に掲載されている導入・活用手順です。

 ITSSの本格導入をしている企業で採用されており、またIPAの実証実験は、この手順を基に進められています。
 5月にレポートが公表された札幌に引き続き新潟でも実施中で、中小IT企業が手順を踏まなくとも簡単に導入できるテンプレートが示されています。スキル標準ユーザー協会でも、テンプレート搭載のスキル管理ツールを用意しています。

 導入時の手順としては、次のように進めることになります。

・要求分析
・活動領域分析
・機能分析
・スキルセット構築
・人材モデル策定

 導入はここまでで、以降の活用については現状把握・ギャップ分析、人材育成計画策定、計画実施・・・という具合に進めることになっています。
UISSの導入手順
クリックすると拡大  一方のUISS導入手順は、図のような進め方になっています。

 これも、UISS解説や有効活用ガイドとしてドキュメント化されています。

・要求分析
・機能分析
・スキルモデル構築
・人材像策定

導入手順としては以上の通りで、以降、現状把握、人材育成計画策定、実施・評価・改善と続きます。

活用手順から見たコンテンツの使い方
クリックすると拡大  発行されているドキュメントで、UISSの機能分析の内容を見ると、活動領域分析にあたる内容の作業ステップが含まれています。

 これでお分かりかと思いますが、どちらも同じ手順で企業導入が進められるのです。
 企業導入を前提に考えると、個人視点ではなくタスクや機能の観点で進めないと成り立ちません。

 なぜなら、「企業力」や「組織力」の向上を第一に考える必要があるからです。
 企業が投資するのですから当然と言えるし、その目的は「ビジネス目標達成に貢献する人材の育成」にほかなりません。

 導入手順が同様だと考えると、双方から提供されているコンテンツを、企業のモデルに合った形にするために、その手順の中でどう使えるかが重要になります。
 この図は手順を中心に置いて、それぞれのコンテンツを使うタイミングを示しました。

 これを見ると、タスク(機能)を提供しているUISSは手順の前寄りに位置付き、職種など個人視点定義・評価方法を提供しているITSSは、後ろ寄りに位置付くことが分かります。

 言い換えると、それぞれのみを使うだけでは企業導入するには不十分であり、両方のコンテンツをうまく使う必要があるということです。

 双方共に「参照モデル」を謳っているので当然かもしれません。

スキルディクショナリの考え方
クリックすると拡大  活用手順は共通化が可能、そうすればコンテンツの共通化を考えることはできないのでしょうか。

 端的には、マスタ的な位置づけと言えるスキルディクショナリを共通化することができるのではないかと考えられます。

 しかし、現在ITSSで用意されているスキルディクショナリは、ITSSの他の定義体と同様、職種専門分野単位で定義されています。

 これでは、周りの変化に引きずられてしまう構造であり、マスタとしては不完全だと言わざるを得ません。仮に、UISSのスキル定義を統合させようとすると、UISSとは関係の無いITSSの職種専門分野に無理やり割り当てることになり、これでは共通化の意味を持ちません。

 ITSSキャリアフレームワークの構造に変化があっても(現に改訂の度に、専門分野の数が変化している)、それに依存しない構造にしておかないと、スキルディクショナリとは呼べません。

 企業導入するには、まず企業力・組織力の向上を考えるということに異論を唱える人はいないと思います。そうすると、先述のように、あるべきタスク、To Beファンクションを先に考える必要があるということです。

 IPAから提供されている企業導入手順は、この考え方を基本としており、それをベースにコンテンツの共通化を考えると、図のようにスキルディクショナリを、タスクの分類体系にしておけば、活用上大変効率的で、今後のメンテナンスも容易になると言えます。
登録:2009-08-15 09:27:14
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