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コラム
第128話:情報システム部門/情報システム子会社/ITサービス企業の役割を明確化する
 情報システム部門は、単なるコストセンターではなく戦略部門として、人材戦略、特にIT人材の育成を推進する必要に迫られています。そのためには、まず、ビジネス部門や情報システム子会社、ITサービス企業との関係も含めて、情報システム部門の役割を明確にする必要があります。
ビジネス部門の戦略パートナーを目指す
クリックすると拡大  例えば、情報システム部門とビジネス部門が一体となって取り組む関係を構築できれば、ビジネス上の課題を解決るために、ソフトウェアやハードウェアを組み合せた新しい発想が生まれ、ビジネス部門が思いもつかなかったような斬新なシステムを実現できる可能性が高まります。逆に、ビジネス部門が要求することだけをこなす下請けのような位置づけであれば、インフラとアプリケーションの管理がメインミッションになり、コストセンターとみなされ業務の多くがアウトソーシングの対象になるなど、存在自体が問われることにもなりかねません。

 情報システム部門の人材育成は、情報システム部門としてビジネス部門の戦略パートナーを目指す取り組みでもあります。そのためにも、UISSなどスキル標準を活用し、現状の機能やスキルがどの段階にあるかを明確にし、ゴールと現在の立ち位置を認識することが重要です。

 ビジネス部門の要求に応じてシステム構築をし、維持運用管理しているだけの下請け的存在なのか、自主的に効率化を進めている段階なのか。あるいはよりよいソリューションをこちらから提案する実行力とスキルがあるのか。情報システム部門の人材育成は、ビジネス部門にとってどのような存在かを認識することから始まります。

情報システム子会社の役割も明確化する
 情報システム部門としての価値を高めていくには、自らの役割だけではなく、情報システム子会社との関係や役割分担も明確にする必要があります。特に最近は、経営者からのコスト削減の圧力が強まっていることや、J-SOXの施行で、グループ全体を視野に入れた内部統制が求められていることなどから、当初期待していた情報システム子会社化の効果が見えにくくなってしまうという状況も散見されるようです。

 また、情報システム子会社に自立を促せば促すほど、親会社との取引きであっても、目先の利益を優先して、それほど効果的でないことを提案してしまうなどの可能性も否定できません。自主性を尊重した結果、親会社から子会社の利益やコストの構造が見えにくくなるという問題もあります。
役割明確化がITサービス企業活用のカギ
 情報システム部門の役割を明確に定義することは、ITサービス企業を活用する上でも非常に重要です。お互いの役割分担を明確にしなければ、ITサービス企業との良好な関係を築くことはできません。

 ITサービス企業の活用を「ベンダーマネジメント」と表現する方もいますが、本来はITサービス企業とWIN-WINの関係を築くことが前提です。
 このWIN-WINを築く上で、SLA(Service Level Agreement)は大変有用です。SLAで定義した問合せ件数、未処理のパーセンテージ、問合せ対応に要する時間といった業務のパフォーマンスなどを評価し、契約内容に反映することが可能になるためです。
 ところがSLAを締結したがゆえにコミュニケーション不足を招き、現場の関係遮断や形骸化を招いてしまうケースもあるようです。最終的には人と人が話し合うことが一番の近道になる場合も多く、SLAのような一つのルールに頼りすぎて安心してしまうことが最も危険です。

 UISSやITSSなどスキル標準を活用することで、このSLAを補完することができます。スキル標準は情報システム部門、情報システム子会社だけではなく、ITサービス企業の役割も明確にできるためです。
登録:2011-01-30 16:01:00
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