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コラム
第124話:関西電力、住友化学システムサービス、三菱UFJ証券が語ったUISS最前線の徹底レポート!
 7月16日(水)に開催されましたJUAS主催「UISS活用実践事例徹底研究セミナー」は大盛況でした。その内容のレポートと、大勢参加された皆さんの思いを探ってみました。
本格的で圧倒的な内容!
 参加者募集後、想像をはるかに越えて、あっという間に満員札止めになってしまいました。内容としても、初めてのUISS主役のイベントであり、事例発表された新たな顔ぶれの企業の本格的な取組みを聞くことができました。申し込みさえできなかった方々からの再企画を望む声が多く、当日参加された方は大変ラッキーだったと言えるでしょう。
当日のプログラムは、次の通りです。

基調講演: 変化する情報システム部門の役割とIT人材戦略の必要性
    関西電力株式会社 常務取締役 藤野 隆雄 氏

事例紹介1:自社に真に求められる業務に資するスキル定義
    三菱UFJ証券株式会社 システム部プロジェクト管理課 部長代理 遠藤 修 氏

事例紹介2: 事業戦略に即した人材の育成と活用のための人材マネジメントの確立
  住友化学システムサービス株式会社 人材センター長 白石 和志 氏

事例紹介3: 関西電力の情報通信部門におけるスキル管理の取り組み
   関西電力株式会社 経営改革・IT本部IT戦略グループ マネジャー 篠原 伸生 氏
関西電力の取り組み
 関西地域においては、残念ながら未だにITSS、UISSのどちらにおいても、スキル標準に本格的に取組んでいる企業は、筆者の知る限り関西電力をおいて他にはありません。
 その関西電力の藤野常務のお話は、大変示唆に富んだもので、CIO自らが旗を振って取り組みを進めることが如何に重要かが表れた内容でした。また、一番最初に基調講演をされ、その後の3事例の講演を最後まで熱心に聞かれていたのが印象的です。その姿勢が全てに表れているということを実感しました。トップダウンのベストプラクティスと言えるでしょう。

 関西電力の取り組みとしては、我々がUISS導入の基本設計のコンサルティングを半年程度進め、その後選定されたスキル管理ツール「SSI-ITSS」のカスタマイズをほぼ終えてインプリの最終局面です。
 関西電力は、IT部門の組織としても情報と通信の統合を進めておられ、スキル管理についても情報システムだけではなく、通信もUISSを活用されるという画期的な取り組みをされています。通信系の大手のほとんどが、情報と通信は分離された状態です。しかもUISSをベースにしているので、当初は不安もあったようですが、出来上がった成果物は、構造化され見事に統合できたものになっています。
住友化学システムサービスの先見性
 住友化学システムサービスの取り組みのスタートは、丁度UISSがリリースされた時期に重なります。まだ実績がなく理解も進んでいないUISSの扱いについては、不安もおありでしたでしょうが、情報会社ということもあるので、次のような方針で取組みました。

・ITSSをベースにする
・UISSの考えを取り入れ、使えるものは使う
・導入手法はUISSのものを使う

 我々のコンサルティング手法は、元々UISS導入のベースに採用されている内容ですから、コンサルタント側はUISSという材料が増えてやり易くなっただけで、特に変更することや課題があったわけではありません。

 運用が一回りしたことで、当初定義されていた人材像・スキル定義などを見直すため、再度我々のコンサルティングを受けられました。この改善のPDCAが重要なことは、講演の中でも強調されていました。
 また、スキル管理を確実に廻すため「SSI-ITSS」を採用されていますが、白石室長から「このツールが好き」、「導入にはコンサルタントを活用すべき」という我々にとっては大変嬉しいお言葉もいただきました。
三菱UFJ証券の苦しみと見えてきた活路
 先の2社は、典型的なトップダウンでの取組みですが、三菱UFJ証券は全く逆のパターンです。講演された遠藤部長代理は、初めにそれを明言され、聴衆を惹きつけました。何故ならUISSに興味のあるほとんどの企業は、推進者が上位の方々を説得しなくてはならない状況にさらされているからです。

 UISSは使えるか、そのためにどうするかを臨場感豊かに話され、多くの方々からの共感を得たようです。三菱総研とともに我々がコンサルティングで入っていますが、普段はあまりやらない合宿などを含めて、プロジェクトチームの一体感はかなりのものです。
 
 あえて人材像は捨ててミッションと業務機能のつながりから入り、最終的に管理職を納得させたユニットという概念まで作り出しました。さらに、スキル定義を自社用に構築する考えやシンプルな手順をも見える化することができています。
 これも管理職の皆さんから厳しい意見をもらいながら進めてきたからであって、初めから納得できるものではなかったのです。遠藤部長代理をはじめ、担当されている皆さんの姿勢、熱意、使命感あっての賜物です。

 三菱UFJ証券は、「UISSは参照モデル」ということを体感から現実論で語れる数少ない企業のひとつでしょう。スキル管理ツールとして「SSI-ITSS」を採用されて、考え方と仕組みの確立とともに、いよいよ活用のための最終局面に入っています。
UISSを活用の意義
 最後になりますが、筆者も全て聞き終えて一番強く感じたのは、企業にとってIT戦略は最も重要であり、それを実現する人材を如何に育成・確保していくかは、それぞれ企業に課せられた命題であるということです。
 今回話された皆さんは、深い理解と熱意でそれを進められています。参加された皆さんも、尊敬の念をもって聞いている姿勢がうかがわれ、全てに心を打たれて何とか自社も続きたいという気持ちが現れていました。

 まさに、UISSがユーザー企業に受け入れられていく瞬間に立ち会ったという感覚で、とても幸せな気分になりました。
 ITSSがベースになっているUISSですが、理解度と本格活用が思ったほど進んでいないITSSを尻目に、ここにきて一気に花開く予感がしています。
登録:2011-01-30 16:00:13
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