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コラム
第119話:「ITSS V3」、「UISS」導入の成果物は70点でよし。改善のためのPDCAを運用プロセスで実現せよ!
 ITSSが出たばかりの2003年の数少ない企業導入事例のほとんどが、人事制度に取り入れたというものでした。現在その時の事例が取り上げられることは、ほとんどありません。また私の知る限り、その仕組みを継続・維持できている企業もほぼ無いようです。
過去の失敗と活用の視点
 人事制度、特に処遇制度は、試行錯誤を前提としてリリースするわけにはいきません。社員が働くモチベーションになるものが、不完全だったり間違っていましたと会社として決して言えないからです。
 それをITSSのフレームワークが人事等級枠と似ているからといって、そのまま採用してしまうと大変なことになるというのは、多くの企業が自ら実証してくれました。
 あえてここでも定義すると、ITSS活用視点は次のようになります。

・ITSSをそのまま使えるのは、IT業界内での位置づけを見たり、企業間比較、また人材調達の場合
・企業の事業計画やビジネスモデルをベースに、ビジネス目標達成に貢献する人材の表現は、企業ごとに熟考して定義
 この場合に、ITSSなどスキル標準を参照モデルという位置づけで、部品として使うと便利で完成度向上が可能

 つまり、企業の人事戦略である人事制度や処遇制度は、ビジネス目標を達成するための手段の1つであり、参考にすることはあっても何かに合わすものではありません。奥深く将来を見据えてしっかり考える必要があるのです。
当初完成度と改善PDCA
 どのような人材がビジネス目標達成に貢献できるか、つまりTo Beである人材像(人材モデル)を定めずして、経営層、管理層、そして社員の皆さんが納得するものを用意できるはずもありません。
 そのTo Be人材モデルは、ITSSだけでなく、用意されているスキル標準群(ITSS、UISS、ETSSなど)をうまく活用することにより、誰にでも説明がつくものとして策定することが可能です。
 しかし、企業が人材に関して過去に苦労してきたことが、一朝一夕に解決するわけではなく、初めから完璧なものを作れるはずもありません。あまりにも不完全なものにしないために、スキル標準を使い正しい手順で策定すれば、70%程度の完成度の人材モデルを構築することは可能です。
 また、人材モデルは策定して終わりではなく、運用のPDCAと同時に、改善のPDCAを廻すことによって、さらに完成度を上げることができるのです。そういう意味で、人材モデル策定と同じく運用プロセスや評価プランを立てておくことも重要ですし、運用していく人材も事前に育成しておくのも大事なことです。
活用当初の取り組み
 以上のことから、導入後にいきなり全面的な人事制度への適用や、処遇への適用は無理があると言わざるを得ません。逆に「評価とは関係ない」と言い放っても、社員の皆さんはピンと来ないでしょう。ITSSなどスキル標準を活用すると、上司が部下の現状を明確に把握できるからです。少なくとも頭に情報としてインプットされるわけなので、直接的でなくとも評価に無関係と言い切れません。
 そうではなく、当初はMBOの目標設定時に、スキルアップ項目などとして取り入れておき、それを評価の一部として使うというのは、共通認識を高める意味でもうまい活用法と言えるでしょう。

 このように人事制度に全面的に適用せず、見直す前提で改善のPDCAと同調させ、活かせるところから使っていくというのが理想的です。
 また、会社から今後人事制度とどのようにリンクさせて行くかということについてメッセージ発信するのも、社員の皆さんの理解を得、不安にならないようにするために必要なことです。
登録:2011-01-30 15:59:13
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