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コラム
第116話:「ITSS V3」にあわてず、「ITSS V3_2008」を睨んで対応せよ!
 これまでも「ITSS V3」について何度か取り上げていますが、3月31日に正式リリースされました。それを期に「ITSS V3」をキーワードとしたインターネット上での検索頻度も増え、注目が集まっています。「ITSS V2」リリース時と比べて各企業の受け取り方が変化してきています。
ITSS V3のポイント
クリックすると拡大  何と言っても今回リリースの目玉は情報処理試験との対応でしょう。賛否両論はあるでしょうが、明らかにITSSの将来にとっては大きなプラスとなる出来事です。

出典:IPA

 今まで実際にITSSを企業導入しようとすると、どのように扱っていいか分からず、すぐに暗礁に乗り上げてしまい、短絡的な手段に偏ってしまうことになって、結局継続できない、社内的な評判も悪いという状況が、多くの企業で起こっていました。このようにどうしても捉えにくかったITSSの明確化がスタートしたのです。それは、図のような基本方針を基にしています。
理解できていないことを認識し、もっと勉強する
 では、企業の反応はどうなのでしょうか。
明らかにV2の時とは異なります。V2は、初期バージョンの不具合や考え方の改善、また将来を見据えた構造化と、かなり手が加えられました。その甲斐あって、分かりにくさから様子眺めをしていた企業も、積極的に取組むようになりました。
 その結果、議論に議論を重ねて自社のモデルに合ったものを作り上げた企業。そうではなくてあまり考えずにスキル診断をして、現状調査の域を出ていないのにもかかわらず、導入したものと錯覚している企業。もう1つは、大きな企業しかできるはずもないとか、導入してどんなメリットがあるのか、など信じられない理屈をつけて何もしていない企業。この3つのタイプに分かれました。

 そしてV3リリースとなって、よく議論した企業はロジカルに考えが組み立てられているわけですから、変更には苦も無く対応できます。逆にAsIsばかりに執着している企業やその他の企業からは、「標準を変えるのはおかしい」、「情報処理試験で達成度は計れない」などの声が聞こえてきます。
 10月にはV3_2008が出ますし、これからも1年に2回のバージョンアップが予定されています。そして今回の発表資料で情報処理試験との関係が明確に定義され説明されています。この状況で、自分たちの理解がおかしいと思わない方が不思議です。そのような方々は、自分が理解できていないことを認識し、もっと勉強することに時間を使うべきでしょう。
10月リリース予定のV3_2008を見据えて対応を
 V3のニュースリリースには、今後の展開として次の一文が載っています。 

 「レベル4 以上の評価に関しては、IT スキル標準の職種、専門分野と高度試験区分との対応づけを行い、2008年10月に改訂版を、その後、業務履歴を用いた職種毎の評価のための手引きを公表する予定」

 つまり今回のV3では、ITSSを基本とした情報処理試験の改定を行い、レベル1から3については、それぞれITパスポート試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験を対応させ、試験に合格すると無条件にレベル認定としました。
 そしてV3_2008では、9種類ある高度技術者試験をレベル4以上に割り当てることになるわけです。しかし、レベル4以上は個別責任ではなく全体に関る責任を負うため、単純に試験合格イコールレベル認定というわけには行きません。そこで、試験合格を前提に、業務履歴などを第3者評価する手法や評価内容を提供することになっています。

 V3_2008では、レベル4以上も具体的にし、企業での活用を促進するという基本方針だということです。今からV3で具体的になったことを検討し、すぐやってくるV3_2008を踏まえて将来計画を立てる必要があります。
 とりあえずやってみようはそろそろ卒業して、勇気を持って真剣に現状の見直しや今後のアプローチを考える時期に来ました。ITSSも同様に進化し充実してきているのです。

 合わすのではなく、自社の考えを明確にし「ITSSを使う」という考えに立つことが重要です。
登録:2011-01-30 15:58:29
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