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コラム
第115話:人材育成を本格的に進めるには
 大変残念な話ですが、人材育成を本気で進める企業はまだまだ少ないようです。ITSSにしてもUISSにしても、ハードルが高くなかなか乗り越えられません。なぜでしょうか。
ITサービス企業の場合
クリックすると拡大  私見ですが、以前までの人材育成の推進は、現場での仕事を外れた方や年齢のいかれた方が、担当するものと相場が決まっていたと思います。
 モチベーションのあまり高くない方が、どうして将来を考えた方策を打てるでしょうか。また、人事担当の方が制度化目的でITSSを取り入れることもあったようで、このような状況では理解することが難しかったり、また理解したくなかったり、とりあえず上から言われるから形だけはやっておこうという雰囲気が強かったのではないかと感じています。
                                                     ITSS V3キャリアフレームワーク

 しかし、それではダメだと気づいた企業も徐々に出始め、優秀な方を担当につけたり、全社を挙げて取組む姿勢を見せてきました。
 従って、それまでのものは返って足枷になるので、思い切って捨てることまでしています。しかし、それは正しくITSSを理解することが出来た企業です。その多くは自分たちで進めることの限界を知り、外部に助言や支援を仰いでおり、時間をかけずにリスタートしています。
 そうでなく、まだ正しくITSSを理解できていないことを自覚できず、企業間比較ばかりで自社の考えが入っていない過去の進め方を継続している企業は、当然のことながら人材育成の推進力がかなり落ちているように見えます。
 3月末にITSS V3が正式リリースになり、その改定内容も明らかになっていますが、その改善されて変更になった内容を見て、自らの取り組みを正当化しようとしているのか、もしくは変更の作業をしたくないのか、「標準を変えるのはおかしい」などと言われている方々が目に付きます。10月にはV3_2008が出ますし、これからも1年に2回のバージョンアップが予定されています。この状況で、自分たちの理解がおかしいと思わない方が不思議です。
ユーザー企業の場合
 こちらも私見ですが、この時代でも経営者がITの必要性は理解していても、IT部門の重要性を理解していないユーザー企業が、かなり多いと思っています。いつまでもコスト部門扱いで、多くの予算を使いその使途も不透明だと言われて嘆いているIT部門責任者の方も多いようです。欧米と決定的に異なるのは、CIOという言葉がほとんど定着していないという点で、先ほどのIT部門の重要性が理解されていないということを如実に物語っています。
 また、人員数が制限されたり、採用できなかったりで、IT部門は少ない人数で仕事に追われています。競合他社とのせめぎあいの中で、新製品発売やビジネス形態の変更が、もろにシステム改変につながるわけです。IT部門の方々は、新規開発や更改で猫の手も借りたいほどのいそがしさで、限界に近いレベルで仕事をこなしているのが現状でしょう。そのような環境の中、人材育成担当のお願いも、現場から特にマネージャレベルから拒否されることもしばしばで、現場の手を借りるのは不可能だという前提になってしまっているようです。
 でも果たしてそうでしょうか。仮にそうだとしても、そのままにしておいていい訳はありません。
 UISSがリリースされてから、ユーザー企業や情報子会社の間で、その活用方法に注目が集まりつつあります。そして、忙しい中で時間を捻出し、IT部門が一致団結して人材育成に取組む企業が何社も出てきています。UISS策定側であるJUASも、活用と普及に本腰を入れようとしています。にわかにじわじわと、でも着実にUISSの普及が進んでいます。
共通した点
 「ITSSやUISSの導入が、なぜ人材育成上で効果的か上司に説明できない、そのような資料があればいいのに」、こう言われる推進者の方がほとんどです。なるほど、と言いたいですが、これは「自分自身がITSSやUISSを理解していないから説明できない」ということに気づくべきでしょう。いくら上司に説明できる資料があっても、その資料を作成した人間が説明に出向くわけではありません。説明するのはあくまで推進する自分自身なのですから、理解できていないと説明することはできません。なぜ努力せずに、手っ取り早く済ませようとするのでしょうか。人材育成は企業の責任であり、一朝一夕には行かない難しく時間がかかるものだというのは、誰でも知っていることです。勉強しアイデアを出して計画・実行して、常にウォッチしながら改善するというPDCAが必要なものです。
 まず理解して、いかに自社の活用目的のために効果を出せるかを考えるのです。方法から入ると単なる手段が目的にすり替わり、おかしな内容になってしまいます。頭を使い、人材育成の考えやプランに「魂を入れる」のです。
登録:2011-01-30 15:58:17
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