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コラム
第103話:UISS、ITSSなどスキル標準導入における企業の動向
 8月28日発行のCIOマガジンに、「スキル標準で人材戦略を練り直す」というタイトルでUISS、ITSSの利活用について寄稿しています。10ページにわたる内容ですが、概観から活用に至るまでをコンパクトにまとめることができました。是非ご一読ください。
 このように、CIO向けの情報誌が取り上げるほどスキル標準が注目されているということですが、各企業の実際のところはどうなのでしょうか?
ITSSの場合はどうか
 ITSSは、企業戦略に沿った人材育成の促進を主たる目的としていますが、ITサービス企業への浸透度は、その視点において未だに芳しくないと言わざるを得ません。目に付く状況をランダムに挙げてみると次のようになります。

・大手IT企業の購買部門が、中小IT企業に対して人材調達目的のみで使用している。
・企業間比較や自社のバリューを示す手段として、ITSSキャリアフレームワークのどこに何人いるかだけに着目して、定期的(多くは1年)にスキル診断のみを実施している。
・また、それらの企業の中には、診断結果に従って研修カリキュラムを作成している場合もある。
・中小IT企業から見て、ITSS活用は人材開発など専門部署や専任者を持つ大手しかできないことだと考えている。従って、無償の診断程度は試すものの、導入には遠く及ばない。
・多くの教育ベンダは、独自視点でITSSキャリアフレームワークに自社の提供する研修をマッピングして見せているが、自社には導入していない。
・経営層や責任者が理解不足で、ITスキルのことなのだから自分たちで考え導入するべきだ、できないほうがおかしいと考えている。その結果、担当者が自力で細々と勉強しながら進めている。もしくは方法が分からないので、とりあえずスキル診断となり、実施してもその先どうしていいかわからず停滞している。

 良いか悪いかは、それぞれの判断になるでしょうが、ITSS発表時の理解不足、導入目的不明確という状況が、あまり変わらずに続いていると思われます。
 
では、UISSに対するユーザ企業の対応はどうなっているのか
 UISSの場合は、ITSSに比較してかなり普及スピードは速いと思われます。UISSは、ITSSやETSSの後発に当たるので、それぞれの不具合やメッセージングなどについて、多くを学習した扱いになっているからです。策定プロセスから構造や活用アプローチ、ドキュメント類に至るまで、いかに活用するかの視点で作られています。その効果もあってか、ITSSに見向きもしなかったガートナーが大きく取り上げたり、CIOマガジンでも特集されたりと、周囲の支援体制も見逃せません。
 さらに、はっきりと傾向が現れているのは、「ITが、いかにビジネスを推進する上で重要かを認識している企業」から先に、取組みが始まっているということです。当然そういう企業のCIOに当たる方は、大きな権限や責任を持たれているということになります。IT部門員の人数には特に関係しません。
 逆にユーザ企業であっても、ITサービス企業のような幅広い取組み、例えばITサービス企業だけに任せずにシステム構築全般に関わっているIT部門などは、自作の標準に当たるものを持っていて、おいそれと変更できないという状況も散見されます。その上、ITサービス企業のようにITスキルなのだから、自分たちで出来ないとおかしい、やるべきだと考える方が多いのも顕著です。しかし、ITサービス企業の場合は経営層が理解不足なのですが、ユーザ企業の場合は、部長・課長など現場の責任者の方々が、まるでITサービス企業の経営層のように、自分たちで対処すべきだと考えているという傾向があります。
考察
 ここから見て取れるのは、IT部門の現場責任者である部長や課長の方々は、入社以来、もしくは以前の会社からIT系一本で来られた方が多く、人材育成に関してまるでITサービス企業のような考え方になっているということではないでしょうか。
 それに比べてCIOに当たる方は、IT系以外の出身の方が多く、人材育成に関しては非常によく理解されているので、「スキル標準の価値を理解し、内部で出来ないことをコストを使って試行錯誤するよりも、外部のプロフェッショナルを使った方が、いいものができる上に、コストも逆に押さえられる」と考えるのです。そのようなCIOが旗を振ることで、UISSの活用は正しく促進されるのです。

 先日、朝のTV番組で政界を引退された塩ジイこと塩川正十郎氏が、次のように話されていました。

「最近の政府は何でも自分たちでやろうとして、できもしないのに時間を使って枠の中で色々とあくせくやっている。もっと外部を使って効率的に新しい考えを取り込まないと、自分たちだけではいいものができるはずもない。自分たちは他にもっとやるべきことがあるのじゃないか」
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UISS初めての著書「UISSガイドブック」について
登録:2011-01-30 15:55:27
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