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コラム
第91話:人材育成、ITSS/UISS活用、人材評価、人事制度の関係 〜その2
 90話では、ITSS/UISS活用の際の位置づけの前段についてお話しました。今回はもう少し突っ込んで人事制度の考え方について理解を進めましょう。
MBO=成果主義か!?
 仕事柄、よく人事や人材開発の方と話す機会があります。その中で結構耳にするのは、「うちは処遇制度としてMBOを使っている」というお話です。MBOとは「Management By Objectives」の略ですが、本来は後ろに「and/thru Self Control」が付くのをご存知でしょうか?MBOとは「期初に年間目標を出して、期末に出来たかどうかの達成率で評価すること」とだけ考えている方はおられないでしょうか?
 キャリアデザインとは、将来自分がどうなりたいかを思い描き、そのために何をしていけばいいかを計画実行していくことです。PDCAを回していかなければなりません。その中の一番短期のサイクルとしてMBOが位置づく必要があるのです。1年1年で評価されて終わってしまうような途切れた考えではなくて、次の1年に、さらに次の1年に、また将来のキャリアにつながっていく必要があるのです。
職務等級制度と職能資格制度
 アメリカの場合は、職務等級制度という日本とは全く異なった考えを持って進んできました。誰にというよりポジションにお金を支払うという考え方です。これは人種問題という避けて通れない課題から出た考えです。
 それに対し、日本企業は年功序列の考え方をベースに発展してきました。また、能力が上がると昇格し、モチベーションを維持するという職能資格制度を取ってきました。いわば上昇指向を前提とした考え方です。しかし、ポスト不足で全員が昇格していくわけに行かず、コンピテンシーや成果主義に走ったと言えます。現在、上昇指向で競争を望む人は少ない状況ですが、このような上昇指向をベースとした制度、キャリアパスがまだまだ多い現状です。
成果主義とは
 では、本来あるべき成果主義の考えとはどのようなものでしょうか。
先に述べたように、1年1年ぶつ切りになっているのではなく、将来のキャリアにつながる年間目標と、それに対するアクションが求められ評価されるわけですが、同時にフィードバックによる仕事の質のマネジメントと、質の理解を通じた次へのアクションが求められます。したがって、よくあるような目標の達成だけの管理は、あまり意味がないと言えます。また、数値だけではなく期待成果、期待役割を明らかにする必要があります。「成果主義≠結果主義」をよく認識する必要があります。
 しかしながら、フィードバックは役職が上になればなるほど、その機会が少なくなるのが一般的でしょう。社長にフィードバックする機会をほとんど持たない企業もあるようです。「裸の王様」という言葉もよく耳にします。
 フィードバックにはネガティブフィードバックとポジティブフィードバックの2種類がありますが、前者は具体的な内容が入っていないと拒否感が増し納得性にかけるものになり、後者は通常概念的になりすぎて意味を成さないものになりがちです。フィードバックする際に十分気をつけなければいけない事柄です。
能力主義とは
 能力に対してお金を払うという考えですと、社員は給与を上げるために能力や資格を取るためだけに努力してしまうことになります。周りを見渡してみると、案外そういうタイプが多いことに気が付きます。これは企業として正しく能力主義を理解できていないことが一因だと言えます。また、上昇指向をベースにして処遇に差をつけるということは、仕事の直接的なモチベーションにつながらないと思われます。金のためにだけ励むようになるということです。
 本来の能力主義は、チャンスを与えその貢献に報酬を与えるという考え方です。言い換えると、個人の内発的な動機を最大限生かせるようにし(機会を与え)、成果にお金で報いるということです。自己実現のように内側にある内的モチベーションを高め、いい仕事ができるか、尊敬できるかが重要なポイントです。

 その3につづく。
登録:2011-01-30 15:52:15
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