スキルスタンダード研究所は、各業界へのスキル標準の活用・推進、プロフェッショナル人材育成に向けたコンサルティングサービスを提供します。
ITスキルスタンダード研究所
スキルスタンダード研究所についてニュースサービスドキュメントコラムお問い合わせ
コラム
第56話:動き出せるか、ITSSを活用した地域の人材育成〜その2 福岡でのITSSイベント
 54話で地域の中でも活発な動きをしている名古屋と北海道を紹介しました。特に名古屋は実践導入に踏み切る決意をし、この7月から3ヶ月間の予定でテンプレートづくりのワークショップを実施します。今回紹介するのは、目立った動きがあまりなかった福岡です。先週AIP主催・ITSSUG共催で「ITSS Event in Fukuoka」と題してITSSに的を絞ったセミナーが開かれました。その熱気をご紹介します。
福岡で初めての本格的なITSS関連のイベント
クリックすると拡大  先週3月15日(水)に福岡ソフトリサーチパークにおいて「ITSS Event in Fukuoka 〜ITスキル標準による戦略的人材育成」と題したITSSをメインテーマとしたセミナーが開催されました。主催はNPO高度人材アカデミー(AIP)、共催はITSSUG他で100名近くの聴衆を集め、以下のプログラムで進められました。

・基調講演 - ITスキル標準の活用状況と導入のポイント -
 ITSSユーザー協会 専務理事 
 スキルスタンダード研究所  高橋秀典
・事例紹介(1) - ITSS導入の取組みについて -
 テンプスタッフ・テクノロジー株式会社 SI事業部 人事・教育グループ マネージャ 嶋田光臣様
・事例紹介(2) - ITSS活用による強い技術部門のあり方 -
 株式会社サイバード 技術統括本部 マネージャ 内山英俊様

 2年近く前に、やはりAIPから呼んでいただき、ITSSについての講演をしたことがあります。AIPは福岡を中心に積極的な人材育成の活動をしており、ITSSUGの協賛団体の位置づけでもあります。その頃は、ファイザー社への導入コンサルティング実施中で、他には本格的な導入事例がまだ無くて、ITSSの目的や意義、中身の解説などをしていた記憶があります。また、その時の熱気もものすごく、私にとって福岡は印象深い地域です。
イベント実現までの道のり
 今回の仕掛け人はAIPの運営委員で日本オラクル西部支社長の江口氏です。私も良く知っているエンジニア出身の熱血漢で、3ヶ月ほど前に私の元に来られ、イベントの相談がありました。AIPコミュニティという活動をされていて、第1回のエベントは「見える化」を題材としたセミナーを開催されています。2回目として福岡でも注目度が高まっているITSSを取り上げたいということでした。
 江口氏は福岡など地域の活性化を具体化するには、経営者やエンジニア自身の意識改革をしないとだめだという考えで、その点で私とは一致した方向性であり、一も二も無くお引き受けしました。
 内容としては、ITSSの話や最新状況だけでなく、具体的な実例を導入された企業の推進者から話すというのはどうか、ということになりました。よくある単に診断ツールを使ったなどという話ではなく、企業戦略から入りゴールを明確にするという、本格的なITSS導入事例にしたいという要望でした。しかし、ただでさえ忙しい推進者の方を、福岡まで引っ張り出すことができるか、ということが課題でした。
地域の状況
 私の地域での普及活動の経験からすると、ITSSがリリースされて3年が経ち、当初期待していた地域の皆さんも、本当に普及するのかという疑問を持つようになっているという状態ではないかと思います。それは、IPAはITSSの中身の話、ITSSUGにしてもこう活用すればメリットがあるという話で、実例があまり語られないという点が、大きな原因であると考えられます。しかしV2が4月1日リリース予定となり、新たな希望の光が見えていることも確かです。
イベントの中身
クリックすると拡大  今回のイベントでは、本格的なITSS導入を実現され、すでに成果を出している企業ということで、テンプスタッフ・テクノロジー社の嶋田マネージャと、サイバード社の内山マネージャに福岡行きを打診してみました。お二人はITSS導入の推進者で、導入時の問題や導入のメリット、今後の課題などを誰よりもよく分かっている方々です。超多忙なお二人ですが、何と何日も経たずに会社としての了承を頂くことができました。
 基調講演での私の話は、ITSSの考え方や導入の目的、導入手順、さらにV2の内容について話しました。そしてテンプスタッフ・テクノロジー社・嶋田マネージャによる具体的な導入の進め方や考え方、メリットや今後の課題など、スキル管理システムとしてITSSUGのSSI-ITSSを活用されている具体例、という内容で話をされました。また、引き続きサイバード社・内山マネージャにより、導入に至る経緯、社内での技術部門の位置づけとあるべき姿、導入の流れ、成果と課題、さらにやはりSSI-ITSSの具体例を画面ショットを使って説明されました。
振り返って
 私のような本格的なITSS導入コンサルティングを手掛けている者からの基本的なITSSの考え方や目的、導入手順の説明があり、続いて実際に導入された企業の導入推進者の方々からの具体的な実例の話、聴衆にとってこれほど分かりやすい流れは無かったと思います。3時間以上の時間にも関わらず皆さんが真剣にそれぞれの話を聞いておられました。東京でもこれほどコンパクトにITSS導入にフォーカスされたセミナーは実施できていません。アンケート結果も高い評価で、内容の良さが表れていました。
 後の懇親会でも様々な前向きな意見があり、会場のあちこちで熱い議論が交わされていました。最後の締めで、AIPの事務局長である中村氏が話されましたが、その内容が大変印象的でした。

「いい話を聞いた、それだけで終わらせず、これをきっかけに積極的に取り組んで、福岡から地域モデルを発信して行きましょう!」

 その通りです。地域で普及してはじめて日本の標準です。リーダーシップをとっていただいた皆さんと、ITSSの普及のためにしっかり支援する約束をしました。
▲▽ 関連サイト ▲▽
AIP ITSS Event in Fukuoka
登録:2011-01-30 15:45:08
 サイトの利用について | プライバシーポリシー | 情報資産管理方針 |
トップページへ戻る