コラムの第3回目。 今回はユーザー企業における「ITスキル標準」への意識と活用イメージをお話しします。
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「ITスキル標準」は誰のためのもの? |
「ITスキル標準」は、ITサービスを提供する側の考え方を元に作成されています。 これは、内容を少しでも読めばすぐに分かります。
1年ほど前にエンドユーザー企業の方とお話しすると、「それはITベンダーサイドのルール作りでしょう。早くいい物にして効率的にして下さい。」という意見が殆どで、定義内容を反映してかまるで傍観者という雰囲気でした。
ところが最近はどうかというと、エンドユーザー企業が抱えている悩みという別の側面から「ITスキル標準」に注目が集まりつつあります。 多くのエンドユーザー企業と会話してみると、以下のようなことが浮き彫りになってきました。 ・「IT部門」は、経営者からすると「戦略部門」という位置づけで期待が大きいが、 実態はそうなっていない。 ・ その原因は、以下のように考えられる。 - 他の現場部門から見て、単なるインフラ管理部門という認識になっている。 - アウトソーシングの推進で、ITベンダーにかなりの部分を任せている。 IT部門は人員も少なく、スキルの空洞化がおきている。 - IT部門のメンバは、自らの企業のビジネスとは直結していないように思え、 また希望してIT部門に属していない場合も多く見かけられ、キャリアパスを デザインしにくく、仕事に対するモチベーションが上がらない。
しかしながら、先にも書きましたようにITと企業経営はますます密接になり、経営者のIT部門への期待は大変大きなもので、経営層の方々自らがIT部門のあり方を真剣に考えられるようになってきました。 |
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企業の内部/外部に向けた「ITスキル標準」への取り組み方は? |
企業の内部に向けた「ITスキル標準」に対する取り組みについて、次のように考えます。 ・ビジネスをマキシマイズするための人材育成に対して、何にどのくらい投資するべきかの 判断材料とする。 ・継続的なスキルの定量的測定を行い、経営戦略に合った長期的な人材育成の一助とする。 ・個人のパフォーマンスを上げるため、キャリアパス構築の指標とし、モチベーションの 向上を図る。 ・ビジネス戦略上の適材適所を実現するため、各サイト及び各組織における人材スキルの 定量的測定を実現する。 ・上司、部下間の能力評価時のコミュニケーションツールを提供する。
では企業の外部に向けてはどうかというと、「調達」という観点が明確になってきました。 ・契約先、またはアウトソーサーから提示・提供される見積、提案、成果(物)などが適正か どうか判断する必要がある。共通のメジャメント(指標)となるものを利用し、評価する。 ・適切に活用すると、ビジネス戦略にあった調達が可能。 ・費用対効果の明確化が可能。 ・コストダウンにつながる。
このように目的が明確なだけに、エンドユーザー企業での取り組みは、思いのほか早く進む可能性が高いと思われます。 さあ、ITサービス提供側もうかうかしていられません。 |
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登録:2011-01-30 15:29:48
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