何かに困っているとき、国など公の組織から提供された目新しいものに飛びついてしまう傾向があります。人材育成にとっての「ITSS」や「UISS」は、その典型的な例だと言えます。
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手段から入ってゴールを見失う |
システム構築を経験した方は、上流工程の現状分析などのステップでの膨大な作業を憶えているでしょう。例えば多くの種類のワークシートを埋めていくような作業です。筆者も経験がありますが、ユーザーニーズに合ったいいシステムを構築することが目的であるにもかかわらず、作業に追いまくられるとワークシートを作成することが目的になってしまうのです。つまり、手段が目的となってしまっているのです。そのような状況では、いいシステムを構築できるはずもありません。 「ITSS」や「UISS」の導入の局面でも同じことが言え、実際にそのような状況となっている企業も多いように思います。「ITSS導入」や「UISS導入」自体が目的になってしまっているのです。 そうならないよう、何のための導入かを共通認識していく必要があります。そのためには、ゴールを定め現状認識をして、そのギャップを埋めて少しでもゴールに近づくための適正なプランを立て、実践していくことが必要です。
組織やそれに属する個人の現状を認識するにはマズローの説が有効です。 |
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マズローの欲求5段階 |
有名なマズローの欲求5段階は、「人間の行動はいずれかの欲求を満たすため」、また「満たされるとさらに上位を求める」ということが基本理念となっています。 また、個人だけではなく、個人の集合である組織体にも当てはまると言われています。
・生理的欲求 生きるための欲求/食欲、睡眠など 賃金に対する欲求は、最も基本的な欲求。少ないと感じると労働意欲が湧かない。多いに越したことは無いが、はっきりとはしていない。 (賃金のレベル管理は一時的なものであるが、日本は自我自尊から自己実現欲求を満たそうとする段階にある。 →MBOとキャリア開発を実践する段階。多様なキャリアパスに応えられるような賃金体系が必要)
・安全・安定欲求 健康でありたい、食べ物の心配。 治安への欲求/福利厚生、作業環境など自己保身のための予防行動・回避行動をとるようになる。
・社会的欲求 愛と帰属の欲求/仲間が欲しい。社会の一員として認められたい。愛したい、愛されたい。誰かの役に立ちたい。助け合いたいという欲求。 身分保障/職位、評価者は誰かを明確に人事制度、評価制度、昇格制度etc.→尺度として集団的に行うこと。
・自我自尊欲求 自分の存在を認めてもらうだけでなく、自尊心を満たそう、他人に尊敬されたいと思う。自分の価値を高く評価されたいという欲求。 正当な評価→自己効力感につながる。 MBOにより、1人ひとりを成長させる/仕事を通して自分の成長を実感できる。
・自己実現欲求 より自分らしくありたいという自己実現欲求。 自分の可能性の追求。より自分を高めようとする欲求。 この段階の人にとって仕事は遊びと同じになる。/やりたいようにやれている。この欲求を満たすものはキャリア開発で、仕事を通してなりたい自分になることである。
この5段階は、順序良く現れるものではなく、環境や状況によって欲求の現れ方は違ってきます。
Ex) ・自分の仕事の質を高めようと頑張っている時 →自己実現欲求が強く出る。 ・やりたいことをやっているが、体調が悪い →安全・安定の欲求が高くなる。 |
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To Beがなければ意味が出てこないAs Is |
あるべき姿だけを追いかけても、あまりに現状からかけ離れていると、ギャップを埋めるプランを立てることが難しく、また立てたとしても現実感に乏しいものになってしまいます。しかし、懸命に現状認識をしても、それだけではどこへ向かうかが明らかになりません。ただし、現状認識から課題が明確になり、ゴールやここ数年の考え方についての議論することは可能になります。 順序は別にして、少なくともプランを立てるにはTo BeとAs Isが必要で、そのギャップから考えていくことに異論を唱える人はいないでしょう。 ここで重要なのは、To Beとは外から与えてもらうものではなく、自らが考え定義するということです。その枠組みの中でAs Isを明確にするというのが正しいアプローチです。 また、プランを立てて実践していくということは、仮説と検証の繰り返し、つまりPDCAを廻すということになるのです。 |
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登録:2011-01-30 15:58:52
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